女性の人生はホルモンに揺さぶられる人生
体調の変化や生理周期を記録に残すことが大切
続いてモニターに映しだされたのは、女性のライフステージとホルモンの分泌量を示したグラフ。卵巣からエストロゲンというホルモンが分泌されて初潮を迎えてから、徐々に分泌量が減って閉経、さらにその先まで「女性の人生は、ホルモンに揺さぶられる人生」だといい、「生理が順調に来ている時期でも、ホルモンの分泌量には波があって、ずっと揺らぎ続けている」と、高尾先生。
「だから多くの女性が、昨日は調子が良かったけど、今日はむくんでいるという体調の変化を感じています」と説明します。
ではその変化はどのように起こっているのか。高尾先生は、月経周期とホルモンの関係についても、「エストロゲンがたくさん分泌された後に排卵があり、排卵日とその前は妊娠の可能性が高まります。排卵後は妊娠しているかもしれない時期で、その時期にたくさん分泌されるのが、プロゲステロンというもう1つのホルモン。妊娠していない場合は、やがてプロゲステロンが分泌されなくなり、赤ちゃんのベッドにあたる子宮内膜が剥がれて月経になる。これを女性は人生で450回ほど繰り返すとされています」と、詳しく解説してくれました。
高尾先生によれば、月経周期は25日~38日と幅があり、「39日だから必ずしも治療が必要というわけではありませんが、『希発月経』のような病名がつくことがあります」とのこと。あわせてスタッフから、iPhoneのヘルスケアの「周期記録」にはオプションとして、月経不順や希発月経など、周期の偏差を検知して通知してくれる機能が備わっていることも紹介されました。
周期記録の大切さについて、「私たちは過去のことってすぐ忘れてしまいます。調子が悪くてもあと数日で良くなると知っているから乗り越えられるし、生理が終わったら忘れてしまうけど、繰り返し調子が悪いようだったら受診した方がいい。先月はどうだったのか、さらにその前はどうなのか、記録しておくことってすごく大事なんです」と高尾先生。
一方で「人と比べる必要はない」といいます。「生理のときに自分が辛くて、生活に支障があれば『月経困難症』という病名がつきます。『更年期障害』もそうで、生活に支障が出ている状態をいいます。人と比べてではなく、自分が困っているかどうか。そういう変化を追跡できるということが大事です」と話していました。
高尾先生はイベント後の取材時にも、「9割方の女性は、月経周期によって調子の良い時期とイマイチな時期があるので、コンディションを把握することが、パフォーマンスに直結します。今の時代は、アスリートなら試合にビジネスならプレゼンなどに、ベストな状態を持ってくることもできる。そうでなくても、たとえばイライラしたり言葉がきつくなる時期には、それを気をつけることでトラブルを防ぐこともできます」と、妊娠、出産以外にも、女性が月経周期を記録するメリットは大きいと話してくれました。
セッションでは周期記録とあわせて、基礎体温とプロゲステロンとの関係性についても紹介され、「排卵後の妊娠しているかもしれない期間に体温が上がるのは、卵が孵化できることを願って温めてくれているようなイメージ。その体温の変化を知ることで、実はこの日が排卵日だったということがわかります。それが基礎体温の意味です」と、高尾先生ならではのわかりやすい言葉で説明してくれました。
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