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生食パン、生フランスパンに続く!?

ベーカリーでトレンドの「生」を意識したファミマの「生コッペパン」 工場生産で不向きな「多加水製法」にチャレンジ

2023年03月06日 12時00分更新

文● ナベコ 編集●ASCII

ファミマの「生」コッペパン。発売後3日で累計販売数が110万食を突破

 ファミリーマートは「生コッペパン」2品(たまご/あん&バター入りホイップ 各128円)を2月28日より販売開始しました。“しっとリッチ食感”を特徴とした袋パンで、同週には発売から3日で累計販売数が2品合計で110万食を突破としたと好調な売行き状況も発表しています。

左から「生コッペパン (あん&バター入りホイップ)」 「生コッペパン(たまご)」各128円

 発売直前にファミリーマート本社(東京・港区)で開催されたメディア向け試食会では、開発に至った経緯や商品特長についてお聞きすることできました。

ベーカリーでトレンドの「生」を袋パンに

ファミリーマート商品本部 FF・スイーツ部 パン・半生菓子グループ 鈴木崇義さん

  ファミリーマート商品本部 FF・スイーツ部 パン・半生菓子グループ 鈴木崇義さんによると、“コッペパン”に対するイメージが世代ごとに若干異なる中、すべてのお客さんにおいしいコッペパンを食べてもらいたいという思いで開発に着手。

 「実は、世代が高くなるほどマイナスのイメージをお持ちの方が多いようです。あまり味がないパンだとか、安いパンだよねとか、あるいは牛乳で昔流し込んだ記憶があるとか」と、鈴木さん。

 そこで、ベーカリー(パン販売店)で“生食パン”“生ドーナツ”“生フランスパン”など“生”をうたったパンがトレンドになっていることに注目。生の味わいや食感を袋パンに取り入れて新しいコッペパンができないかと考えたそうです。

 昔ながらのイメージをもっている人にもおいしく食べてもらえるように目指したのが、いわく「しっとリッチ食感」。

 具体的には、パンの生地自体のおいしく仕上げるために、惣菜パン(生コッペパン たまご)と菓子パンは(生コッペパン バター入りホイップ)の両方に生クリームを使用。それぞれ、惣菜パンは多加水製法の生地でしっとり、菓子パンはブリオッシュ生地でくちどけがよいように仕上げたとしています。

■生コッペパン(たまご)

生クリームを加えたしっとりもちっとした食感の生コッペパンにコクや旨味がアップしたたまごフィリングをサンド

■生コッペパン(あん&バター入りホイップ)

生クリームを加えたしっとりくちどけのよいブリオッシュ生地の生コッペパンに、なめらかなつぶあんとバター入りホイップをサンド

工場の大量生産にはむかない「多加水」と「ブリオッシュ」

 多加水製法はベーカリーなどで最近よく使われており、文字どおり生地に水分を多く含ませてしっとり焼き上げる製法です。ブリオッシュは、卵や油脂を多く含んだ生地で、近年トレンドになった「マリトッツォ」でも知られるようになりました。

 鈴木さんが言うには「多加水製法もブリオッシュも、実はベーカリーがすごく得意な生地である一方、工場の大量生産にむけるのが難しいパンなんですね。多加水製法はお水がいっぱい、ブリオッシュは卵を多く使用するため、生地が柔らかくてドロドロした感じになっちゃうので、なかなか機会製造にむけるのが難しい。

 ブリオッシュのほうは、配合や工程を工夫しています。生地を練り上げたあとに休ませる工程があるんですけど、通常の3倍の時間をかけて休ませたり、焼き上げをしっとり仕上げるために少し低い温度設定にして短時間で焼き上げる、なんてことしています。

 多加水製法の生地はゆるくなってしまいがちのところを、今回、なんとか機械にかけられるかたさの生地に仕上げるというところに工夫をしています。配合だけではどうにもならないので、発酵時間だとか、醸成時間だとかを試行錯誤して、一番いいところに落とし込みました」とのことでした。

以前のコッペパンと「生コッペパン」を食べ比べた

試食会では、懐かしの学校給食のような雰囲気で提供いただけました

 試食会では、ファミリーマートで販売していた従来のコッペパンと生コッペパンで食べ比べもできました。従来のコッペパン(たまごのほうは、コッペパンではなくたまごドックという名称でした)でも、当たり前ですが普通においしくいただけるところ、食べ比べてみると生地自体の質が全然違うと鮮明に分かりました。2品とも幾分か咀嚼したあとにスッと溶けていくような滑らかさで、袋パンなのにサンドイッチをいただいているような品のよい後味です。

左から「生コッペパン (あん&バター入りホイップ)」 「生コッペパン(たまご)」。菓子パンと総菜パンで生地が異なります

従来のコッペパン

 個人的には、コッペパンって「水分が持っていかれる」といったイメージがあったところ、生コッペパンは口の中のパサつくことなくおいしくいただけました。また、過去のコッペパンの記憶と照らし合わせると「端まで具材があって最初の一口目からおいしい」というのも感動ポイントではありました(これは生コッペパンだからというのではなく、最近のコンビニのコッペパンが全体的にレベルアップしているということかもしれません)。

筆者はもっちりしっとりした「生コッペパン(たまご)」がお気に入り。買って帰ってトースターで軽く焼いてもおいしくいただけました

 なお、気になるカロリーはたまごは1個313kcalで、あん&バター入りホイップは1個345kcalでした。軽食として適度ではないでしょうか。

「生コッペパン(焼きそば)」も登場

 ファミリーマートでは、従来生地のコッペパンも並行して発売していますが、鈴木さんによると徐々に生コッペパンに移行するとのことでした。

 第一弾のたまご、あん&バター入りホイップに続き、さっそく、「生コッペパン(焼きそば)」(168円)が3月7日に販売開始されます。もっちりしっとりの生コッペパン生地と食べごたえある焼きそばとの組み合わせに期待。

3月7日発売予定

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