日本電気は3月3日、ローカル5Gの運用を容易にする、学習型無線品質分析技術を開発したと発表した。
従来の広域ネットワークでは、サービスのエリアごとに通信性能を平均的に向上させる取り組みが進められてきたが、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する現場ではロボットの作業速度や継続性などのアプリケーションの性能が生産性に大きく影響するため、通信性能要件を通信セッション単位で守ることが求められる。
しかし、実際の現場ではレイアウト変更や機器・モノ・ヒトの移動などにより無線品質が変動し通信性能が低下することがあり、電波は目に見えないため低下の原因を特定することが難しく、分析に膨大な時間と労力を要していた。
同社が新たに開発した学習型無線品質分析技術は、ローカル5Gの通信性能が低下している場所を電波の受信電力など限られた無線品質のデータからAIでリアルタイムに推定・可視化。また、通信性能低下の原因を、無線品質の変動特性をもとにAIを用いて通信セッション単位でリアルタイムかつ自動的に特定する。これらをもとに、基地局の送信電力、アンテナの向きやチルト角などを調整し、アプリケーションを安定して高い性能で継続可能とすることで、現場業務の稼働率や生産性を大幅に向上させることができるとしている。
同社では、玉川事業場におけるリビングラボの手法による実証を行ない、社員がローカル5Gを活用したアプリケーションを利用し、無線品質の変動の影響や通信性能が低下した際の原因の分析と対処に関するノウハウを取得。今後はこれらをローカル5Gサービスに組み込み、実環境で効果を発揮するサービスに発展させ、ローカル5Gの社会実装を加速させるとしている。
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