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ITソリューション事業を担う高度IT人材の採用/育成を重視、キヤノンMJ

2023年03月06日 09時00分更新

今回のひとこと

「2022年度は、営業利益、経常利益、純利益で過去最高を更新し、中期経営計画の初年度としていいスタートが切れた。ITソリューション事業では、サービス型事業モデルを拡大し成長させることができた」

(キヤノンマーケティングジャパンの足立正親社長)

 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は、2025年度を最終年度とする「2022-2025中期経営計画」を推進している。

 従来はローリング方式を用い、毎年、3カ年の中期経営計画を更新する形で、新たな計画の策定を繰り返してきたが、2022年1月に策定した中期経営計画は、初めて4カ年の計画として固定。2025年度の業績目標は、2021年4月に打ち出した長期経営構想「2025年ビジョン」の経営指標とあわせている。そして、この中期経営計画は、2021年3月に社長に就任した足立正親社長にとって、最初の通信簿となるものだ。

 キヤノンMJの足立社長は、「2022年度(2022年1~12月)は、中期経営計画の初年度として、重要な年であると考えていた。非常にいいスタートを切れた」と振り返る。

 2022年度の連結業績は、売上高が前年比6.5%増の5881億円、営業利益は同25.8%増の499億円、経常利益は同24.1%増の509億円、当期純利益は同20.8%増の355億円。営業利益、経常利益、純利益で過去最高を更新し、すべてのセグメントで増収増益となった。

 キヤノンMJ 取締役上席執行役員の蛭川初巳氏は、「仕入れ価格や物流費などのコストが上昇するなかで、提案力を強化し、高付加価値な製品やサービスの比率を高め、粗利率の維持に努めた。また、販管費の削減など、筋肉質な体質へと転換を進めた結果が、増収と大幅な増益につながっている」と、2022年度の決算を総括する。

 キヤノンMJでは、この成果をもとに、中期経営計画の最終年度の数値を上方修正した。

 2025年度の売上高6500億円、ITS(ITソリューション)の売上高3000億円の目標は据え置いたものの、営業利益を80億円上方修正して580億円としたほか、ROEを8.0%から9.0%に上方修正した。

 キヤノンMJの足立社長は、「営業利益は、すべての事業セグメントで、目標を上方修正する。また、ROEの8.0%という目標は前倒し達成しており、2025年度には9.0%以上を確実に達成し、近い将来には10%を実現したい」と意欲をみせた。

ITソリューション事業の成長を前面に打ち出す

 中期経営計画の達成においては、ITソリューション事業の成長が鍵になる。

 足立社長は就任直後に、「キヤノンMJグループは、ITソリューション事業を中核とした企業を目指し、事業ポートフォリオを転換する」と宣言。2021年度には2211億円だったITソリューション事業の売上高を、2025年度には3000億円にまで引き上げる意欲的な計画を打ち出している。

 初年度となる2022年度のITソリューションの売上高は、前年比9%増の2414億円。「サービス型事業モデルの創出、拡充を中心とした具体的な取り組みにより、すべての領域において前年実績を上回る成長を遂げた」と、その成長性に手応えをみせる。

 キヤノンMJのITソリューション事業は、金融業や製造業、医療分野をはじめとしたシステムインテグレーションなどを行う「SIサービス」、BPOやデータセンター事業、中小企業向け保守サービスの「まかせてITシリーズ」などで構成する「保守・運用サービス/アウトソーシング」、ビジネス向けPCやゲーミングPC、周辺機器、セキュリティソフトの「ESET」などを取り扱う「ITプロダクト・システム販売」で構成している。

 とくに、2022年度の実績で特筆できるのが、2025年度に売上構成比で25%を占める750億円の事業規模を目指している「保守・運用サービス/アウトソーシング」だ。

 「前年度に、エンタープライズ関連で複数のBPO案件があったため、年初計画では減少を見込んでいたが、公共関係を中心に新たなBPO案件を獲得し、前年実績を上回ることができた」と、底力をみせつけた。

 そして、足立社長が、ITソリューション事業に強い手応えを感じているのは、「サービス型事業モデルの創出、拡充を中心とした具体的な取り組みにより、利益を伴った拡大ができた」という点だ。

 2025年度までは年平均で19%の成長率を遂げ、450億円の売上高を目指す「Edgeソリューション」では、それを構成する「映像ソリューション」において、「見る」、「録る」といった領域で、キヤノン製品のほか、AXIS、マイルストーンシステムズに加え、新たにArculesの国内独占販売権を取得。クラウドによる映像監視サービスの提供にも乗り出した。今後は映像DX領域に注力し、映像ソリューションを拡充していくことになるという。

 また、同じくEdgeソリューションを構成する「デジタルドキュメントサービス」では、2022年12月から、デジタルドキュメントサービス「DigitalWork Accelerator」の第1弾として、デジタルデータの一元管理とデータの利活用を促進する電子取引管理サービスの提供を開始。今後は、業務アプリとの連携や、業種別サービスの拡充に取り組む予定だ。

 足立社長は、「ここは、キヤノンMJが得意とする領域」とし、「ITソリューション事業の拡大だけでなく、複合機やレーザープリンタ、インクジェットプリンタといったキヤノン製品の事業拡大にも寄与する」と語る。

 このようにEdgeソリューションでのサービス型事業モデルの取り組みが増えている。

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