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PFUの歴史と次のステップは?

リコーになってもScanSnapの火は消えない

2023年02月20日 09時00分更新

“はたらく”に歓びを、の実現に

 PFUの村上村上清治社長はリコー出身。リコー入社当時に、すでに撤退しているスキャナー事業を担当した経験をもとに、「PFUの社長に就任したことには、縁のようなものを感じる」と語る。

 2022年9月の社長就任後、PFUの歴史を紐解きながら、2022年11月に、新たな経営方針と新ビジョンを発表した。

 村上社長は、PFUの強みとして、「お客様からの信頼」、「確かなものづくり、技術、保守技術力」、「業務に詳しい」、「自前主義、技術へのこだわり、粘り強さ」、「反骨心、進取の精神」の5つをあげ、「お客様に寄り添い、素直に期待を聴き、真摯に応え、信頼を得てきた。そして、継続して、泥臭く逞しく生き残り、存在価値を示してきた。これがPFUのDNAである。今後は、PFU個社としてもさらに強く逞しく、そして、リコーグループのなかで、なくてはならない存在になる」と、PFUの方向性を示す。

 村上社長が打ち出したPFUの新たなビジョンは、「デジタライズの入り口とそこから繋がる業務の改革を支援し、お客様の“はたらく”を変えることに貢献する」であり、基本方針として、「シナジー×強み(競争優位)による成長の実現」を打ち出した。

 「ドキュメントイメージング事業は、デジタライズの入口にあり、エンベデッドコンピュータ事業もデジタライズの基盤にあたる製品。インフラカスタマサービス事業はデジタライズのベーシックな部分を支える。今後は、入口だけに留まらず、お客様の業務のなかに入り、業務を変えていくことで、リコーグループの2036年のビジョンである『“はたらく”に歓びを』の実現をサポートできると考えている」と語る。

 ドキュメントイメージング事業では、「断トツ商品力と用途開発による顧客の拡大と収益拡大」、エンベデッドコンピュータ事業は「ハイエンド集中と顧客の深耕と高付加価値サプライヤーへの進化」、インフラカスタマサービス事業では「基盤となるサービス事業をベースに業務を改革する事業を創出する」ことを基本方針とし、「これまでのPFUは、成長の余地があるのに、成長しきれない部分もあった。リコーグループとのシナジー、PFUが持つ強みによって、新たな成長路線に乗せていきたい」と意欲をみせる。

売上の推移

 この数年の売上高は1300億円を少し上回るところで足踏みが続いているが、これを近い将来に1500億円規模にまだ拡大させる考えだ。

成長戦略の柱となるドキュメントイメージング事業

 なかでも、ドキュメントイメージング事業は、今後の成長戦略の柱になる。

 2025年度のドキュメントイメージング事業の全世界売上げ目標は、2022年度実績の約590億円から20%増となる約720億円を目標に掲げた。内訳は、既存ビジネスの成長で640億円、新規開拓やシナジー効果で80億円を見込んでいる。

 それに向けて、PFUでは、主力となるイメージスキャナーのブランドを、2023年4月以降、これまで富士通ブランドから、リコーブランドに変更することを発表した。対象となるのは、パーソナルイメージスキャナーの「ScanSnap」と、業務用イメージスキャナーである「fiシリーズ」、「SPシリーズ」であり、製品名や型番はそのまま維持する。

ScanSnap iX1600

fi-8190

 「PFUのスキャナーは、多くのお客様の業務支援を行っている製品。そして、トップシェアであるからこそ、お客様に対して新たな価値を提供し、新たな用途を提案していく使命がある。また、オフィスなどの現場において、リコーブランドの複写機やプリンタと一枚岩にすることでシナジーを生み、ドキュメントイメージング事業をさらに成長させることができる。今回のブランド戦略は、その第1弾であり、グローバル視点で、スキャナー事業の最大化を図る」と意気込む。

 新たなPFUの成長戦略が動き始めた。

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