JR東日本とPASMO協議会は1月25日、モバイルSuica/モバイルPASMOを使った中学生・高校生向け通学定期券の取り扱いを開始すると発表した。2023年3月18日から。
現在は大学生向けのみモバイル対応しているが、新年度を前に利用対象を拡大する。
窓口購入の煩わしさを解消
これまでモバイルSuica/PASMOの通学定期券は中高生向けのものに対応しておらず、利用者は窓口で物理カードの定期券を購入する必要があった。
特に進学・進級等で新規発行が増える毎年3〜4月に掛けては窓口が混雑しやすく、大きな駅では長蛇の列ができることもしばしば。この状況はコロナ禍以前から続いており、長年の課題となっていた。
今回のモバイル対応により、利用者は窓口へ出向いたり、長時間並ぶことなく、自宅や外出先から定期券の購入が可能となる。
購入手続きもモバイルSuica/PASMOアプリ上で全て完了する仕組みにあらためられ、現行の大学生向け通学定期券より購入手続きが簡便になる見込みだ。
モバイルSuicaはクレジットカードで、モバイルPASMOはデビットカードやプリペイドカードで購入可能
クレジットカードを持たない中高生の通学定期券購入に対応するため、モバイルSuicaではワンタイムクレカ決済機能も追加される。
これは定期券購入などの際、一時的に保護者のクレジットカード情報を登録して決済するもので、アプリ上にはクレジットカード情報は保存されない仕組みだ。
子どもに持たせるモバイルSuicaを現金チャージ仕様に限定したい場合は、この機能が役立つだろう。
モバイルPASMOについてはワンタイムクレカ決済への対応を明言していないが、こちらはデビットカードやプリペイドカードにも正式対応しているため、仮に非対応でも大きな問題はなさそうだ。
通学証明書の審査もアプリからオンラインで
通学定期券の購入には学校から発行された通学証明書等が必要だが、こちらもモバイルSuica/PASMOアプリ経由でのオンライン審査となる。
アプリの指示に沿って書類を撮影・アップロードするだけで審査が始まり、問題がなければサポートから購入可能になった旨の通知がくる仕組みだ。
ただし、オンライン審査の性質上、短期間に多くの購入希望があった場合、審査完了まで時間が掛かる可能性もある。
日程に余裕をもって申し込むのが理想だが、急ぎの場合は無理にモバイルにせず、窓口で物理カードの定期券を買うことも検討した方が良いだろう。
モバイル定期券の拡大は窓口縮小の布石か
通学定期券のモバイル対応が拡大した背景には、少子化による働き手減少に備え、人力に頼った業務を減らしていきたい交通事業者側の事情もある。
モバイル定期券の利用者が増えれば、その分有人の定期券売り場の人員削減に繋げることができる。
現在、JR東日本では有人切符売り場の縮小を進めているが、今回の中高生向けモバイル定期券の登場により、今後は現場の省人化が加速していくだろう。
なお、2023年春にはJR西日本もモバイルICOCCAの導入を予定しているが、こちらは通学定期券への対応も含め、まだ詳細が発表されていない。
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