第401回
第13世代Core“K無し”Core i5~i3の実力を検証
Core i5にEコア革命!Core i5-13500/13400&Core i3-13100レビュー
ついにCore i5にもEコア搭載!
Core i5-13500、Core i5-13400、Core i3-13100レビュー
すでに報じられている通り、インテルは2023年1月3日23時に、第13世代インテルCoreプロセッサーにMTP(Maximum Turbo Power)を抑えた“K無しモデル”の販売をグローバルで解禁した。本邦における1月3日時点の初出価格と、1月下旬時点における実売価格は以下の通りだ。
TDP 65W版Ryzenの登場も手伝っているのか、初出時よりもだいぶ安くなったモデルが見受けられる。ちなみに、Core i5-13600はインテルの製品リストに登録されているものの、Core i5-13600Kや13500との差別化が難しいという理由から、自作PC向け市場には入ってきていない。
モデル | 初出価格 | 実売価格 |
---|---|---|
Core i9-13900 | 10万4800円 | 8万8000円前後 |
Core i9-13900F | 10万800円 | 8万6000円前後 |
Core i7-13700 | 6万9800円 | 5万9000円前後 |
Core i7-13700F | 6万6800円 | 5万5000円前後 |
Core i5-13500 | 4万3800円 | 4万3000円前後 |
Core i5-13400 | 4万800円 | 3万5000円前後 |
Core i5-13400F | 3万5800円 | 3万円前後 |
Core i3-13100 | 2万5800円 | 2万2000円前後 |
Core i3-13100F | 2万1800円 | 1万8000円前後 |
前回はこの新モデルのうち、Core i9-13900およびCore i7-13700の2モデルを、同じ第13世代CoreのK付きモデルと比較した。
今回はK無しモデルのバリュー志向モデル、すなわちCore i5-13500、Core i5-13400、Core i3-13100の3モデルを検証する。第13世代のCore i5は、第12世代Coreでは搭載が見送られていたEコアを搭載したことで、マルチスレッド性能はもとより、PコアとEコアの使い分けによる応答性の向上が期待できるモデルである。
下位モデルはAlder Lake-S世代を流用
改めて第13世代Coreに追加された新モデルのスペックを確認しておこう。型番に“K”がないので倍率変更によるOC(オーバークロック)に対応しないというのは従来通り。だが最大の見どころは、廉価版モデルにも8基ないし4基のEコアが搭載された点といえるだろう。
これまでライトユースには物理6コアで十分とされてきたが、Eコアがバックグラウンドに回った処理を担当し、Pコアを最前面の処理に集中させることで応答性を向上させるような使い方ができる以上、Eコアはあって損のない装備だ。さらにブーストクロックも引き上げられているため、性能向上は十分に期待できる。ただし、第12世代CoreのCore i5と比べると、MTPは117W→154Wないし148Wに引き上げられた。
なお、Core i3-13100についてはCore i5より上のモデルと違い、旧世代と同等の物理4コアでEコアは非搭載。結果としてCore i3-12100のクロックを引き上げただけの製品になっている。
CPU-Zの表示から気がついたと思うが、今回テストするCore i5-13500/13400およびCore i3-13100のL2キャッシュはコアあたり1.25MBとなっている。つまりこれは第13世代Coreの廉価モデルはAlder Lake-Sベースの製品であることを示している。
さらに、DDR5メモリーの対応クロックはCore i9-13900K〜Core i5-13600KまでがDDR5-5600なのに対し、Core i5-13600〜Core i3-13100はDDR5-4800と低く設定されている。これらの情報から、今回Core i5-13600より下のモデルには第12世代CoreのクロックおよびMTPを引き上げたものが使われているということになる。
もう少し詳しく解説しておくと、第13世代コアには3種類のステッピングが使われていることが判明している。それぞれの違いは表の通りだ。各欄の数字はそのステッピングが最大いくつのコアを持っているか示している。なお、GPU欄はどのステッピングも搭載できるので1になっている。
ステッピング | Pコア | Eコア | GPU |
---|---|---|---|
B0 | 8 | 16 | 1 |
C0 | 8 | 8 | 1 |
H0 | 6 | 0 | 1 |
つまり、Core i9-13900K〜Core i5-13600Kまでは、Pコア8基にEコア16基までを収容できる「B0ステッピング」で製造され、Core i5-13600〜Core i5-13400はPコア8基にEコア8基までの「C0ステッピング」、そしてCore i3-13100はPコア6基までの「H0ステッピング」となる。純然たるRaptor Lake-SはB0ステッピングであり、C0とH0ステッピングはAlder Lake-Sベースということだ。
そして今回、Core i5-13400/13400Fには、Core i5-13600Kと同じダイから生まれ、Eコア12基を無効化したB0ステッピングのモデルと、最初からEコアを4基しか持たないC0ステッピングの2種類が“存在し得る”ことがインテルの資料から確認されている。
となると、B0ステッピングのCore i5-13400とC0ステッピングのCore i5-13400では性能も変わってくると考えられるのだが、残念ながらB0ステッピングのCore i5-13400の存在は確認できていない。
とある代理店筋に取材したところ「現状Core i5-13400はC0ステッピング品しか入荷していない」という。Core i5-13500がC0ステッピングであることを考え、ユーザーの混乱を防ぐため仕入れをC0ステッピングのみに絞った可能性がある。今後B0ステッピングのCore i5-13400が入手できたらぜひとも性能差を検証してみたいものだ。
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