週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

決してレトロバイクじゃない! ヤマハ流のヘリテイジモデル「XSR900」

最新の電子制御で武装した「XSR900」

 初期モデルでは、幅広のハンドルバーと、前座りなライディングポジションのMT-09がややモタード的な性格を与えられていたのに対し、純然たるロードスポーツ的な味付けをされていたのがXSR900だった。

 最新のXSR900は、従来型の845ccから888ccに排気量をアップし、電子制御メカを追加。この電子制御は、ゼロ発進からの突発スタートを抑止する「アンチウィリー」、コーナリング中のリアタイヤのスピンを適度に抑制する「スライドコントロール」、通常のABSよりも細かい設定が可能になった「コーナリングABS」、車体姿勢感知式の「トラクションコントロール」などで、スーパースポーツの「YZF-R1」ならまだしも、ストリートスポーツのXSR900にはやや過剰という気がしないでもない。これはもう、何かあった時のためのアクティブセーフティーと捉えるのがいいだろう。最高に進化した「転ばぬ先の杖」だ。

 通常のライディングでありがたい電子制御は、シフトアップとシフトダウン両方に使用できる、クラッチ操作なしでシフトチェンジができる「クイックシフト」と、高速道路のクルージングなどに快適な、アクセル操作なしで一定速度をキープできる「クルーズコントロール」だろう。クイックシフトとクルーズコントロールは、一度使うとなくてはならない装備に感じられるほど快適な装備なのだ。

 そのXSR900、相変わらずパワフルな出力を、かなりスムーズに制御した印象がある。スロットル微開からグンとトルクが出ていた従来モデルよりも、明らかにジェントルにジワッとトルクが出てくるようになり、低速や一般道のストップ&ゴーは、かなりイージーになった。

 加速も変わらず強力! アイドリングすぐ上の2000rpmといった低回転域から力があって、5000~6000rpmあたりの常用回転域がスムーズで強い。アクセルの開閉に、ラグなくリアタイヤのグリップが直結しているようなフィーリングこそ、並列3気筒エンジンの特徴だ。

 そのパワーをコントロールするハンドリングは、これも3気筒エンジンのスリムさを活かした俊敏なもので、寝かし込みも軽く、切り返しも安定感のある正確さがある。特に、前後サスペンションがよく動くことで、リズムよく連続したコーナーをクリアするのが楽しい。この時に生きてくるのが、クイックシフトだ。

 この、120馬力もある力をコントローラブルと感じられることこそが、ヤマハがXSRを世に送り出した成果なのである。

1台であらゆるシーンが楽しめる「XSR900」

 ノンカウルスタイルでありながら、高速道路の100~120km/hクルージングも快適。ここではクルーズコントロールが絶大な効果で、意外とホネが折れるアクセルを一定開度で開け続ける、という作業からライダーを解放してくれる。もちろん、クルージングスピードからの加速もイッキで、高速走行でピタリとした安定感があり、レーンチェンジの入力では、軽々としたフットワークを味わえるのだ。

 MT-09発売から8年、ヤマハの並列3気筒エンジンモデルは、完全にその地位を確立したといっていい。現在は、所有する1台のオートバイで、どんな用途にも使いたい時代。XSR900は、一般道の渋滞路から、高速道路のクルージング、その先にあるワインディングも含めて、すべてのシチュエーションをすべて楽しめるオートバイなのだ。

取材協力:月刊オートバイ

■関連サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事