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アップルCEO ティム・クック氏が先進GIGAスクール訪問「iPadが生徒の未知なる可能性を解き放つ」

2022年12月14日 12時45分更新

熊本市立五福小学校 3年生の国語の授業の様子。この日は童話絵本「もちもちの木」の朗読をiPadに録音、BGMを付けて作品に仕上げるという内容でした

クック氏が熊本市の先進GIGAスクールの生徒と一緒に学んだ

 熊本市は小・中学校で学ぶ生徒たちが1人に1台、自由に使えるiPadを供給して教育の情報化に力を入れてきた自治体です。授業に参加する多くの生徒たちがいつも不自由なくインターネットが利用できるよう、熊本市ではセルラー機能をアクティブにしたiPadを生徒に配っていることも大きな特徴です。

 この日の授業の課題はiPadで朗読音声を録音して、さらにBGMを付けて「もちもちの木」に登場する主人公“豆太”の心情をリアルに再現するという、とてもクリエイティブな内容でした。

 国内でも特に先進的な熊本市によるGIGAスクールの取り組みに触れたクック氏は、授業を受けた印象を次のように語っています。

 「生徒の皆さんがとてもクリエイティブに、アップルのデバイスやソフトウェアを使いこなしている様子に感銘を受けました。人が創造性を持つということは、私たちの未来にとても大事なことなのだと改めて確信しました」(クック氏)

 教育の現場で「活きた使い方」ができた時に、iPadは人が本来備える創造性と論理的思考の未知なる可能性を解き放つのだと、クック氏は強く語ります。

 さらに、その先にはテクノロジーを正しく駆使するための道筋もまた見えてくるのだとクック氏は続けます。

 「デジタルテクノロジーを効果的に扱うことによって、学生たちがより速く学びの成果を得られます。教育は人と人との平等を促進するとアップルは信じています。今日、五幅小学校の授業に参加できたことで、私はそのことをまた強く感じた次第です」(クック氏)

魅力的な授業をつくってきた「先生」たちにもエールを送りたい

 クック氏は、iPadを使った授業を魅力的なものにするため全力を尽くしている、日本全国の教師各位にもエールを送りました。

 「子どもたちは大人たちが想像するよりも、デジタル化の波をとても起用に乗り越えながらデバイスを軽やかに使いこなします。生徒たちが学校で授業を受ける時にも、まるで家庭で自由にデジタルデバイスを扱っているときのような、自然な心地よさを感じながら学べる環境をつくることが教師の皆様にとって大切です」

 クック氏が参加した、五福小学校3年生の国語の授業では担任の荒川美穂子教諭は児童たちを複数のチーム(班)に分けて、iPadによる創作に挑戦する機会を設けました。クック氏は「これはまさしくアップルや、昨今の近代的な企業が社員同士によるコラボレーションを促進させるためによく使う手法であり、生徒たちが学びから発見を得る際にも非常に有効」なのだと、学校の取り組みに感心している様子でした。

熊本市、および熊本市立五福小学校のGIGAスクールの取り組みを語っていただいた熊本市教育長 遠藤 洋路氏(左側)、熊本市五福小学校教諭 荒川美穂子氏(中央)、熊本市五福小学校校長 本田裕紀氏(右側)

 さらに、クック氏は「私から教師の皆様へ進言したいこと」として、次のように言葉を切り出しました。

 「教師の皆様による熱心な取り組みと最新のテクノロジーが交差し、混じり合うことによって私たちの学びよる成果は最大化されます。学ぶための環境をより良いものに変えていくための努力に終点はありません。日本のGIGAスクール構想はとても素晴らしいものであり、このアイデアを教育に関わる皆様にますます大きく育んで欲しいと願っています。なぜなら、生徒たちはより良い未来を創るために必要なスキルをいま、まさに獲得しようとしているのですから」(クック氏)

 

筆者紹介――山本 敦
 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

 

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