mocopiでザッカーバーグがジャンプするかも
一方で、Quest Proを使うケースも出ています。VTuber系の技術提供をしているラペットテクノロジーズのねぎぽよしさんが、Quest Proの強みである、顔・目・手のトラッキングをすべて実装したソフトのテストバージョンを作られています。Quest Proの可能性を大きく広げる技術のように見えます。
QuestProとLuppetを連携して「ARグラス時代のVTuberトラッキングソフト」の試作をしてみました!
— ねぎぽよし (@CST_negi) November 16, 2022
今までのLuppet相当(顔と表情、手と指)の動きをデバイス1台かぶるだけで実現しています。
ARグラスをかけるだけですぐにVTuberになれる未来が作れそうです! pic.twitter.com/c3iZ6DX9Cc
いかにVRの世界に自分のモーションを適切に持ち込むのかというところで、様々な方向の技術革新が起きているわけです。モーショントラッカーと言えばかつては数十万円クラスでしたが、これがどんどん値下がりして、使い勝手もよくなり、誰でも使えるようなものになっていきました。技術革新は着実に進んでいると感じます。
これだけ同時期に製品群が出てきたのは、やっぱりHaritora Xの成功が大きかったと思います。フルトラッキングをしたいという国内のニーズがそれだけ大きかったということの証明だと思いますね。ちなみにShiftallもmocopiの発表後に対抗する形でツイートしていました。おそらく同じように小さなタイプの発表を2023年1月に米ラスベガスで開かれる家電見本市CESで発表するのだろうと思います。
CESまで待とうと思っていましたが...どうやらフルトラ戦国時代?! が到来しそうなので、そろそろ新型機の話をゆるりと始めますかねぇ。あ、HaritoraX 1.1の後継機ではなく、使い勝手が異なる新しいラインナップとなり、1.1とは併売です。お楽しみに! pic.twitter.com/lEzPFgaGbJ
— 株式会社Shiftall (@shiftall_jp) November 30, 2022
現在でも、モーショントラッカーやモーションキャプチャーは日本に強烈なニーズがある状況です。VTuberカルチャーやVRSNS系のメタバース利用が、個人にも広がってきている影響ということができるでしょう。大手のVTuberスタジオはだんだんと専門のモーションキャプチャースタジオを作ってより高度な技術を入手する一方で、個人では簡易なモーションキャプチャーで満たされていく環境が整っています。その幅こそが、日本のVR、VTuber、メタバースの幅の広さを示していると考えられると思います。
ただ、最近ではその文化が日本にとどまらず世界に広がっていく兆しも出てきていて、たとえばアメリカのストリーマーさんがHaritora Xを試したりもしています。mocopiはQuestの使用にも対応していますし、もし今後メタの「Horizon World」がmocopiに対応したら、ザッカーバーグが本当にジャンプできるようになるかもしれませんね。
筆者紹介:新清士(しんきよし)
1970年生まれ。「バーチャルマーケット(Vket)」で知られる株式会社HIKKY所属。デジタルハリウッド大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRゲーム開発会社のよむネコ(現Thirdverse)を設立。VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。著書に8月に出た『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。
※お詫びと訂正:掲載時、HaritoraXについてShiftallが技術を買収したと記載していましたが、共同開発の誤りです。発売時の価格についても誤りがありました。関係者の皆様にお詫びするとともに訂正します。(2022年12月9日 15時41分)
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