週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

中身も走りも全部見せます!

新型「シビック TYPE R」がレース初参戦! 耐久レースで2位表彰台を密着レポ

2022年12月10日 12時00分更新

 Hondaの赤バッジ「TYPE R」シリーズが誕生30周年を迎えた11月27日。Hondaの従業員有志によるレーシングチーム「Honda R&D Challenge」は、鈴鹿サーキットで行なわれた2022年スーパー耐久シリーズ最終戦に新型シビックTYPE Rを初めて実戦に投入。見事クラス2位を獲得しました。

表彰式で檀上からチームスタッフに手を振るドライバーたち

新型シビック TYPE Rがいよいよレースデビュー!

予選前ミーティングの様子

 2リットルターボエンジン車が集まる「ST-2」クラスに参戦するHonda R&D Challengeは、Hondaの従業員による有志チーム。参戦を通して、人づくり、モノづくり、モータースポーツの発展への貢献を目指しています。他の自動車メーカーと異なるのは、業務ではなく自己啓発として活動している点。いわゆる手弁当です。

 メンバーは主に車両開発に従事する若手で構成されていますが、その中はシビック TYPE Rの開発責任者、柿沼氏の姿も。チームは2019年に発足しましたが、会社からのサポートが受けられないということもあり、当初は年に1度のスポット参戦でしたが、ホンダ技術研究所に活動が認められ、今年からスーパー耐久のST-2クラスにフル参戦しています。チームの成り立ちや意義については、こちらの記事をご参照ください(クルマ作りの人材育成のためスーパー耐久に参戦するHonda従業員チーム「Honda R&D Challenge」)。

グリッドでスタートの時を待つFL5型シビック TYPE R

 同チームは長年にわたり、FK8型(前モデル)のシビック TYPE Rで参戦してきました。ですが、今大会の決勝日が、最初のTYPE RモデルであるNSX-Rの発売30周年の記念日にあたることから、新型のFL5型にチェンジすることを決断。第5戦もてぎ大会で、柿沼氏の口から「最終戦にFL5型を投入する」と公言して以来、チームは人々の注目を集めてきました。

マシンを磨くスタッフ

 自己啓発活動であるため、マシンの整備や制作は業務時間外に実施。FK8型の整備をしつつ、FK5型の車両制作という苦労をすること4ヵ月。ついにお披露目の日を迎えました。まずはマシンを見てみましょう。

ベースは市販車だが装備がまるで違う

ST2クラスに参戦するFL5型シビックTYPE Rのフロントマスク。ラジエーター開口部が大きく開いていることがわかる

大型のカーボンリップスポイラーが目を惹く

サイドビューは普通車とあまり変わりはない

 外観で目にはいるのは、冷却効率を高めるべくフロントバンパーの開口部が大型化していること。そしてカーボン製のリップスポイラーが取り付けられている点でしょう。側面はノーマルとほぼ変わりありません。

ST2クラスに参戦するFL5型シビック TYPE Rのリアビュー

マフラーはセンター1本出し

給油口の様子

リアスポイラー

翼端板も大型化されていた

ステー下部には角度調整機構が設けられていた

翼面は比較的フラットな形状。ガーニーフラップなどは取り付けられていない

 大きく異なるのがリアまわり。まずは給油口がついている点がノーマルとは大きく異なるところでしょう。シビック TYPE Rの特徴であるセンター3本出しマフラーは、TRUST製の1本出しへと変更。リアスポイラーはカーボン製で翼面が大型化。さらに翼端板の形状も大きく異なっています。ステーはアルミ削り出しの大型のものへと変更されており、角度調整が可能になっていました。

エンジンフードを開けた様子

フードはカーボン製

エンジンはノーマルのまま

ラジエターはTRUST製の大型モデルへと変更

サスペンションはキャンバー調整が可能。バッテリーは小型化されている

 「すぐにでも市販化できるのでは?」と思えるほどシッカリとした造りのカーボン製エンジンフードを開けてみると、エンジンは基本的にノーマルの様子。ですがラジエターは大型化されていました。ほかにはキャンバー調整が可能な車高調と、バッテリーが小型化されている程度です。

室内の様子

標準車でエアコン送風口にあたる部分に、小さなモニターが取り付けられていた

ステアリング周りの様子。ステアリングはスパルコ製だ

シートはレカロのフルバケットへと変更

シフトはノーマルと同様のHパターン

 室内はレーシングカーらしくドンガラ。FK8で参戦していた時は左ハンドルでしたが、FL5では右ハンドルになっていました。トランスミッションは市販車のもので、いわゆるシーケンシャルではありません。フルバケットシートはレカロのカーボン製。目についたのは、モニターが1枚増えていたこと。どうやらカメラミラーの役割をしているようです。このあたりは24時間レース参戦を視野に入れた装備といえるでしょう。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう