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VRHMDでVRChatも可能!ソニー、モバイルモーションキャプチャー「mocopi」のデモで分かったこと

2022年12月01日 13時00分更新

文● ジサトラハッチ 編集●ASCII

 ソニーは11月29日(火)に、同社初の小型で軽量なモバイルモーションキャプチャー「mocopi」(モコピ)を発表。メディア向けに、そのmocopiの説明会とデモを実施した。

mocopi

 説明会では、ソニー株式会社 新規ビジネス・技術開発本部 モーション事業推進室 室長 相見 猛氏が登壇し、製品の概要を紹介した。

ソニー株式会社 新規ビジネス・技術開発本部 モーション事業推進室 室長 相見 猛氏

 mocopiは、近年増えつつあるモーションキャプチャーを使ったVTuberやVRコミュニケーションツール、アニメーション制作に活用できる製品として開発したという。6つのセンサーとスマホだけで自宅での撮影や外ロケ動画なども作れるなど、本格的な自分の動きのデータ化を手軽化した製品になっている。

6つのセンサーはケースに収めて、USB Type-Cケーブルで充電する。製品は非常にコンパクトで、ケースに入れて簡単に持ち運べる

年々増えつつあるVTuberや世界中で活用されているVRコミュニケーションツールの「VRChat」で使用、時間や場所の制約に捕らわれずに手軽にCG制作が可能としている

「mocopi」の主なスペック
対応スマートフォン (Android)
Xperia 5Ⅳ、Xperia 1Ⅳ、Xperia 5Ⅲ、Xperia 1Ⅲ、Xperia 5Ⅱ、Xperia 1Ⅱ
(iOS)
iPhone 14 Pro Max、iPhone14 Pro、iPhone14 Plus、iPhone14、iPhone 13 Pro Max、iPhone13 Pro、iPhone13、iPhone 12 Pro Max、iPhone12 Pro、iPhone12
対応OS Android 11以降/iOS 15.7.1以降
サイズ(直径×厚み) 32mm×11.6mm(センサー1個あたり)
質量 8g(センサー1個あたり)
測定方式 加速度センサー(3Dof)・角速度センサー(3Dof)
充電方法 USB充電(充電ケース使用)
電池持続時間 約10時間
充電時間 約1.5時間
防水/防塵 防水(IPX5/IPX8)、防塵(IP6X)
通信方式 Bluetooth LE Ver.5.2
最大通信距離 10m
使用周波数帯域 2.4GHz帯(2.4000GHz-2.4835GHz)
同梱物 センサー6個、ヘッドバンド、リストバンド2個、アンクルバンド2個、クリップ、充電ケース、取扱説明書

 発売日は2023年1月下旬で、最初の販売はソニーストア限定で、直販価格は4万9500円。

 従来のモーションキャプチャーは、全身タイツのようなスーツを着用し、スタジオで撮影したり、PC用のVRヘッドマウントディスプレー(HMD)とトラッカーを使ったりと、PCを必要としたがmocopiは、スマホがあれば使えるため、場所を選ばずスタジオレスでモーションキャプチャーが行なえる。

スタジオレスな点も特徴の1つ

 センサーの直径は3.2mmと500円玉大で、重量は8gと軽量。6つのセンサーを頭、左右の手首、左右の足首、腰の6つに取り付けるだけで利用できる。

小型センサーをバンドとクリップにアタッチメントで取り付け、6つのセンサーを取り付けるだけで利用可能。アタッチメントには、マグネットで容易に取り付けられるが、ツメもあるため身体を激しく動いても簡単には外れないとのこと

 モーションキャプチャーのデータは、同社のアプリでMP4の動画にしたり、BVH形式のモーションデータとして保存可能。各種サービスで活用できる。

動画データはスマホから直接アップロードも可能。ローカルネットワークで接続したPCに送って動画編集ソフトで編集したり、モーションデータを3DCG編集ソフトで加工することもできるという

 実際に説明会では、バーチャルモーションキャプチャーで動作するデモやOculus Quest 2でVRChatを使ったデモなどが行なわれた。

 同社のアプリで接続用のIPアドレスと通信ポートを確認でき、それを使ってPCやVRChatには接続できるという。現状、mocopiは6つのセンサーがすべて接続できていないと利用できないが、その状態でOculus Quest 2に接続すると、頭はヘッドセット、両手はOculus Quest 2のコントローラーを利用し、両足と腰の位置取りはmocopiで行なうことになるという。

PC接続設定でIPアドレス、通信ポートが確認できる。VRChatと接続する場合は、通信フォーマットをVRChatに変更する必要がある

 mocopiだけでは、手を開いたり閉じたりといったことはできないが、Oculus Quest 2のコントローラーを使う場合は、コントローラーで行なえる指の動きはもちろん使える。

Oculus Quest 2を使ってVRChatを実行しているデモ。この場合、頭と両手のトラッキングはOculus Quest 2側を使うが、頭と両手首のmocopiもスマホとの接続用に付けている必要がある

 mopcopiとVRHDMの接続は、VRChatで行なうため、VRChatが使えればVRHMDがOculus Quest 2である必要性はないとのこと。おそらくPC用VRHDMでも使えると思われる。ちなみに、mocopiは両足が地に付いていることで、足の位置をある程度把握し、足を上げると膝の位置は、ディープラーニングなどの機械学習で想定される動きをアバターが再現するという。

 しかしながら、足が地に付いていない、たとえば寝転んだ場合は身体のモーションが取れづらくなり、アバターが地面にめり込んだりする。また、ジャンプするくらいの動きは再現できるが、足が5秒以上長く離れたりする、たとえば逆立ちなどをし続けるとモーションが崩れるようだ。

 遅い動きは苦手だが、一般的に人が行動する動きの速さは問題なく再現可能。逆に速い動きの再現は得意なので、ダンスなどは問題なく動きをトレースするそうだ。ちなみに、スマホアプリ上でマイクをオンにしていれば、マイクで拾った音に合わせてリップシンクで唇は動作する。瞬きはランダムで行なわれるとのこと。

 セットアップのデモも行なわれた。6つのセンサーは、最初だけスマホとペアリングが必要で、その後スマホからの音に合わせて1歩踏み出す動作のみでキャリブレーションが簡単に終わる。長時間使用するとモーションにズレが生じることがあるため、あくまで1つの目安だが15分に1回アプリ側の操作だけの簡易的なキャリブレーションを行ない、30分に1回再キャリブレーションをすると快適に使い続けられるとしている。

初期設定する場合は、mocopiの中央のボタンを押してペアリングを行なう

6つとも接続済になればペアリング終了

装着箇所をタップすると

各装着場所ごとに詳細な説明も表示される

身長を選択

キャリブレーションを行なうと、利用可能になる

 アバターは最初から同社の「RAYNOSちゃん」と黒い人影の「HUMAN」が利用できる。背景もグリーンやブルー、ホワイト、レッドと変更でき、グリーンバッグ対応のソフトで背景を消して使うこともできる。

RAYNOSちゃん

HUMAN

背景は変更できる

 同社は株式会社Moguraが主催するXR Kaigi 2022に出展し、12月22日(水)~12月23日(木)のXR Kaigi 2022 Offlineでは、一般参加者に初お披露目するという。

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