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NEC通信システム・竹中工務店・アルモ・MetCom、ビルディング新築現場において3次元屋内外位置測位の技術などの実証実験を実施

2022年11月10日 18時30分更新

スマートフォン利用による自己位置推定実証の様子(顧客情報をマスクするため、画像は加工処理を施している)

 日本電気通信システム(NEC通信システム)は11月9日、建築現場における作業最適化・効率化に向けた技術実証を実施したことを発表した。

 竹中工務店とアルモ、MetComの協力のもとで本年10月に東京都港区の竹中工務店によるビルディング新築現場において実施したもので、3次元屋内外位置測位の技術や、建設DXの期待を担うデジタルモデリング技術であるBIM(Metropolitan Beacon System)を活用した実証実験。

 建設業界では技術者不足が深刻化する中、業界魅力向上への働き方改革と同時に、生産力の確保を見据えた建築生産変革が求められており、生産性向上に向けた最適化や作業者の安全性担保を図るため、作業環境における人・モノの位置や状態を正確・リアルタイムに把握することは業界共通の課題として認識されてきた。とくにGNSS(GPSを含む全球測位衛星システム)では屋内・地下においては衛星電波不感地帯となって位置測位が困難となり、インフラレスでかつ屋内での位置測位可能な方式が求められていたという。

 MetComのMBS垂直測位サービス「Pinnacle」はユーザー端末の気圧センサー情報とMetComが設置した基準点の気圧情報とをクラウドでリアルタイムに比較分析して高さを推計するもので、ユーザー環境へのインフラ設置が要らない屋内外位置測位方法。2021年10月から首都圏の一部でパイロットサービスを開始し、今年10月から関東・大阪の一部で商用サービスが開始された。

 今回の実証では、BIMに含まれるビルディングのデジタルモデル情報を静的な屋内3次元デジタルマップとして実際の建物の位置(緯度・経度・高度)に合わせて変換・合成し、次に実際に「Pinnacle」によって得られるリアルタイムの高さ情報を元にして自己位置を推定表示するスマホアプリケーションを試作。実際の作業現場において建物側に対してインフラレスでの位置測位が十分な精度で実施可能であることが確認できたとともに、独自開発中の補正技術のパラメーターを検証し、データ通信環境が整っていない状態の対策などシステム化に向けた課題抽出を行なった。

 本実証ではスマホを利用したが、今後は気圧測定と通信の機能に絞った小型ハードウェアをモノに貼付してクラウド上から集中管理するシステムの開発を予定しており、そうすることで人のみならずモノの継続的な位置把握も可能になるとしている。

別の既存ビルでの画面表示イメージ(緯度、経度の測位は現段階ではGNSSを利用している)

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