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余裕あるVRM、よく冷えるヒートシンク、M.2 SSDはPCI Express 5.0 Ready!

AMD B650チップセットを採用したAM5プラットフォーム向けマザーボード、MSI「MPG B650 CARBON WIFI」

2022年11月09日 11時00分更新

文● 石川ひさよし 編集●ASCII
提供: エムエスアイコンピュータージャパン

 PWMコントローラはMonolithic Power Systems「MP2857」。MOSFETは、メモリ用と思われる1フェーズのみMaxLinear「MxL7630S」を用いているが、そのほかCPU、iGPU用はMonolithic Power Systems「MP87670」を採用している。MP87670は80A対応のSPS(Smart Power Stage)だ。すでにMPG X670E CARBON WIFIを見ているだけに、それと比べるとフェーズ数を減らし、90A→80A対応へと抑えられている。ただし、より安価なモデルならCPU 14フェーズ、60A程度の出力に抑えられるため、MPG B650 CARBON WIFIはアッパーミドル的選択と言えるだろう。

MPG X670E CARBON WIFIよりは一段控えめだが、アッパーミドルクラスの構成を持

PWMコントローラはMonolithic Power Systems「MP2857」

CPU用、iGPU用MOSFETはMonolithic Power Systems「MP87670」

メモリ用MOSFETはMaxLinear「MxL7630S」

 組み合わせるVRMヒートシンクは、CPUソケット上辺、左辺に分かれたブロックタイプのもので、それをヒートパイプで結んだ構造だ。MOSFET部分からバックパネルにかけてオーバーハングする部分まで、放熱面積が大きくとられている設計は同社が「拡張ヒートシンク」と呼ぶものだ。また、MOSFETやチョークと接触し熱を伝える部分には7W/mKのサーマルパッドを用いている。

 MPG B650 CARBON WIFIのVRMはこのように強力で、たとえCPUベンチマークを長時間稼働させても、MOSFETの能力的にかなり負荷率は低いところで使用することになるのではないだろうか。また、組み合わせられる超巨大VRMヒートシンクの冷却性能も期待できる。そこをベンチマークで確かめてみよう。

 今回は、CPUにRyzen 7 7700X(8コア16スレッド、TDP105W)を用い、36cmクラス簡易水冷のMSI「MEG CORELIQUID S360」、ビデオカードにMSI「Radeon RX 6950 XT GAMING X TRIO 16G」を組み合わせた。そのほかメモリはAMD EXPOに対応したOCメモリで、Kingstonの「Fury Beast RGB KF560C36BBEAK2-32」(DDR5-6000、16GB×2)、PCI Express 4.0 x4世代のM.2 SSDを組み合わせている。バラック状態で検証しているが、ケースファンを想定した12cm角ファン1基をメモリの手前に置き、こちらはMPG B650 CARBON WIFIのファン回転数制御に任せた。計測時の室温は27℃。使用したベンチマークは、MAXON「CINEBENCH R23」、UL「3DMark」。それではグラフを見てみよう。

今回検証に用いたパーツ

AMD EXPOに対応するKingston「Fury Beast RGB KF560C36BBEAK2-32」を使用した

モジュール規格はDDR5-6000対応

 グラフ1は、CINEBENCH R23のCPU(Multi Core)を10分間駆動させた際の各部温度推移だ。VRMはMOSFET内の温度センサーを用いており、グラフでは濃い青のラインの「MOS」に注目いただきたい。ベンチマーク開始前は34.5℃で、スタートとともに上昇しはじめ、ベンチマーク終了時点では45.5℃だった。1基とはいえケースファンありの想定なので、ベンチマーク終了直後からすみやか温度を下げていく。540カウント以降の温度下降が緩やかなのは、CPU温度が十分に冷えたと判断したマザーボード側ファンの回転数制御が、ケースファンの回転を最小まで絞るためだ。それでも緩やかに温度を下げていく部分こそ、超大型ヒートシンクの効果と言える。

グラフ1 CINEBENCH R23の温度推移

 グラフ2は3DMarkのCPU Profileベンチマークで温度変化を見てみた。3DMarkのCPU Profileベンチマークは、最大スレッドから16/8/4/2/1スレッドとCPUのスレッド数の違いで計測される。グラフのCPU温度、冒頭2つの鋭いピークはまだロード段階で、3つ目のピークがMAXスレッド、そして16スレッド、8スレッド……と続く。Ryzen 7 7700Xは最大16スレッドなので、MAXスレッドと16スレッドテストは実質同じだ。VRM温度はベンチマーク開始から徐々に上昇しはじめ、16スレッドテスト時に38.5℃、その後8スレッドテスト中に最大温度の39℃に達した。4スレッドテスト中はまだ39℃になるシーンもあったが、2スレッド、1スレッドテストではむしろ冷却が勝っているようで下降線になっている。

グラフ2 3DMark CPU Profileベンチマークの温度推移

 グラフ3は3DMarkのTime Spy Extreme(普段のTime Spyよりも負荷を上げた)実行中の温度推移だ。序盤、GT1、GT2のシーンではCPU負荷はあってもVRMはそこまで温度上昇を見せなかった。一方、CPUテストに入るとCPU負荷がグンと上がり、VRM温度も上昇を見せた。ただし、ここでも意外と上昇幅は大きくなく、最大45.5℃で収まっていた。

グラフ3 3DMark Time Spy Extremeの温度推移

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