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北九州市「KITAKYUSHU SDGs STARTUP ECOSYSTEM PROJECT」

北九州市 5つのスタートアップ支援プログラムが連携始動

2022年11月15日 06時00分更新

 北九州市のスタートアップ支援プログラム「KITAKYUSHU SDGs STARTUP ECOSYSTEM PROJECT」は5つの支援プログラムを実施し、「環境、ロボット、DX」分野に関連する企業の資金調達や実証実験を支援する。

 今回の採択書交付式では5つの支援プログラム「GAP-K」、「SIT-K事業化支援」、「SIT-K実証支援」、「COMPASS小倉アクセラレーションプログラム」、「Maker’s Projict」の採択企業となる23社に採択書が授与された。採択書交付式の後には採択企業が事業内容を紹介するピッチをした。本記事では各プロジェクトの概要と「GAP-K」、「SIT-K」採択企業によるピッチの模様を紹介する。

採択書交付式で開会の挨拶をする北九州市 北橋健治市長

 採択書交付式に出席した北九州市の北橋健治市長は「スタートアップは社会的な課題を解決するための鍵であり、地域経済の牽引役だ。北九州市に拠点を置くスタートアップが全国、世界を舞台に活躍する企業へ成長することを願っている。」と述べた。

 はじめに、GAP-K採択企業1社のピッチを紹介する。

複業マッチングプラットフォームの株式会社Another works

株式会社Another works代表取締役 大林尚朝氏

「GAP-K(グローバルアクセラレーションプログラム-北九州)」は事業規模の拡大が見込まれるスタートアップ企業に専門家が伴走支援を行い、投融資や協業をサポートするプログラムだ。

 GAP-K採択企業のひとつである株式会社Another worksは、複業の社会実装をミッションに掲げ、日本初となる複業に特化した人材マッチングプラットフォーム「複業クラウド」を運営する。採択式当日には4.6億円の資金調達を発表した。

「複業クラウド」には約4万5千人の複業人材が実名、顔写真付きで登録している。企業は月額制のサブスクリプション契約をするため、採用ごとの費用がかからない。正社員採用を見据えた複業人材の雇用や、地方企業の人手不足の解消に貢献する。

 北九州市との取り組みとしては複業人材による地方自治体の行政課題の解決を挙げた。Another worksは国内の地方自治体の3%にあたる55自治体と連携協定を締結し、150名以上が地方自治体で複業をしている。ピッチをした代表取締役の大林尚朝氏は「北九州市と連携協定を結び、北九州市における複業クラウドの実証実験を進めたい」と述べた。

 続いて、SIT-K事業化支援の採択企業2社のピッチを紹介する。

商用のEV車両を開発する株式会社EVモーターズ・ジャパン

株式会社EVモーターズ・ジャパン広報部 甲斐実菜美氏

「SIT-K(スタートアップイノベーショントライアル-北九州)事業化支援」は北九州市を拠点に事業を展開するスタートアップ企業に、最大2000万円を補助する成長支援プログラムだ。

 SIT-K事業化支援の採択企業のひとつである株式会社EVモーターズ・ジャパンは、2019年に北九州市の若松区で設立。独自技術のアクティブ・インバータを搭載した商用EV車両の製造や販売、レンタルからリユースバッテリー、ソーラーパネルの提供までノンストップで展開している。

 EVモーターズ・ジャパンが開発したアクティブ・インバータを搭載のバッテリーは、8年以上の長寿命化や走行距離が非常に長くなる省電力化を実現している。製品ラインナップにはバスや物流トラック、三輪のトライクなどが挙げられる。

 北九州市との取り組みとして2023年、若松区に国内初の体感型EV複合施設「ゼロエミッションe-PARK」を建設することを挙げた。テーマは「EVを広げる・EVを感じる・施設を楽しむ」で、EV車両の生産に加え、試乗や工場見学、資料館での学習が可能だ。

電動マイクロモビリティを開発する株式会社ストリーモ

株式会社ストリーモ代表取締役兼技術責任者 森庸太朗氏

 SIT-K事業化支援の採択企業2社目は株式会社ストリーモだ。独自技術「バランスアシストシステム」を搭載した新しい電動マイクロモビリティの開発と販売を行う。

 二酸化炭素の排出量削減に寄与する電動マイクロモビリティは欧州での導入が盛んだ。しかし、自転車の18倍の事故率や走行時の不安定さなど課題が多い。そこでストリーモは独自のバランスアシスト技術を開発。ごく低速から自転車と同程度の時速25kmまでで、石畳や傾斜でも体勢が乱れにくい電動マイクロモビリティを実現した。

 2022年6月に販売開始した「Striemo Japan Launch Edition限定モデル」では歩行が困難な高齢者の利用例が多く集まった。北九州市における実証実験では歩行の代替手段としての電動マイクロモビリティの検証を行い、公道での走行を目指す。

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