IoTプラットフォーム「SORACOM」を展開するソラコムの個人ユーザー向け通信サービスが「Soracom Mobile」だ。海外旅行や出張で通信が必要な場合でも、eSIMテクノロジーを用いることで、アプリからワンストップで利用できる。認知度は高くないが、ポテンシャルを感じさせるサービスの概要とコンセプトについて、ソラコムの二人に聞いた。
契約から利用までアプリ内で完結するeSIMテクノロジーの強み
B2B向けのIoTプラットフォームであるSORACOMに対して、Soracom MobileはiOSデバイス(iPhone/iPad)での利用を前提とした個人向け通信サービス。物理的なSIMの差し替えが必要ないeSIMのテクノロジーを採用することで、通信サービスの契約から利用まですべてがアプリ内で完結する。グローバルで利用可能なSORACOMのカバレッジを活かし、欧州、北米、アジア・太平洋、日本などさまざまな国と地域で通信サービスを利用できる。
物理的なSIMの差し替えがないため、利用まではきわめてシンプルだ。まずはアプリをインストールし、利用したい国や地域のプランを選択。ApplePayやクレジットカードで決済を済ませると、インストールボタンが表示されるので、それを押すとプロファイルのダウンロードが開始される。プロファイルにはAPNを始めとした必要な設定がすべて入っているので、世界58カ国(2022年10月時点)でそのまま通信が利用できる。
Soracom Mobileがスタートしたのはコロナ禍前の2019年にさかのぼる。ソラコムの江木典之氏氏は、「同一設定でグローバルで利用できるコネクティビティを持っていましたし、eSIMテクノロジーの研究開発も進めていましたので、テクノロジーショーケースとしてのサービスを模索していました」と振り返る。特にeSIMに関しては、2017年頃から技術開発を進めており、2019年のDiscoveryでは会場にeSIMを試せるQRコードまで配布していた。
そんな中、アップルとの話し合いから、eSIMを利用したSoracom Mobileの開発に至る。iOSでeSIMを利用するには、QRコードをスキャンしてプロファイルをダウンロードする方法のほか、iOSアプリから直接ダウンロードする方法がある。しかし、QRコードをかざす方法だと、QRコードを表示する別のデバイスやプリントアウトが必要になる。その点、ソラコムはアップルからグローバルのコネクティビティプロバイダーに認定を受けることで、iOSアプリ内でのeSIMプロファイルダウンロードが可能になったという。
通信を付加価値として提供するユースケースでの活用も
発表当初は、ヨーロッパと北米、オセアニアという3地域で、日本はなかった。海外に向かうアウトバウンドの旅行客を前提にしていたが、残念ながらコロナ禍であまり海外旅行自体がなくなってしまった。しかし、行動制限が緩和されたこともあり、2022年7月にサービスを再度強化。具体的には、11/15/18カ国をカバーするアジア向けプランに加え、安価な国別プランも追加した。
そもそもIoTプラットフォームを中心とするソラコムにとってみれば、テクノロジーショーケースの立ち位置を持つSoracom Mobileは収益軸というわけではない。「派手な広告を打っているわけではないため、Soracom Mobileの認知度は高くないですね」と江木氏。とはいえ、eSIMテクノロジーやグローバルコネクティビティを活用したい企業としては、Soracom Mobileは有力な選択肢と言える。
ソラコムの片山暁雄氏は、「たとえば、自社のポイントを通信データ量に還元するみたいな仕組みをアプリの中で実現したい会社からの問い合わせがあります。そういった通信を付加価値として提供するビジネスユースケース、特に海外での用途で、プラットフォーマーとしてSoracom Mobileを提供できたらいいなと思っています」と語る。
今年は海外への旅行や出張も徐々に増えてきたこともあり、利用者も伸びているとのこと。また、iPhone 14の米国版では物理SIMが廃止されることも発表されており、eSIM自体のニーズも今後は高まってくると予想される。こうした中、新しい通信サービスの選択肢の1つとして注目していきたい。
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Soracom Mobile:https://apps.apple.com/jp/app/id1498164804
(提供:ソラコム)
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