ワコムは9月28日、液晶ペンタブレットの新製品「Wacom Cintiq Pro 27」を発表した。発売日は10月12日の予定。ワコムストアでの販売価格は、単体で48万1800円(専用のスタンド込みでは55万4180円)。
Wacom Cintiq Pro 27は、26.9型で解像度3840×2160ドット(4K)、リフレッシュレート120Hzのディスプレーを搭載した、プロフェッショナル向けの高品質液晶タブレットだ。
ディスプレーの解像度は従来のWacom Cintiq Proでも4Kに対応していたが、リフレッシュレート120Hzは同社初。従来は60Hzだったため、2倍の数値になっている。これにより、60Hzの液晶ペンタブレットよりも映像が滑らかに動き、線を引く際などにより快適に作業できるという。
また、ディスプレーは10億7374万色/1024階調を映し出すことができ、DCI-P3カバー率98%、Adobe RGBカバー率99%の色域を誇る。色見本を作成しているPantoneによる認証「Pantone Validated」、「Pantone SkinTone Validated」を取得しており、プロの現場でも使える色再現性を備えている。
その他、Wacom Cintiq Pro 27ではショートカットボタン「ExplessKey」をグリップ型に変更した。本体側面を握るように掴んだ際、人差し指の位置に2つ、中指/薬指の位置に2つで、それぞれ両側面にあるので、計8つのExplessKeyが搭載されている。ExplessKeyの機能は、同社のユーティリティーソフト「Wacom Desktop Center」でカスタマイズも可能だ。
さらに、マルチタッチ機能による拡大/縮小/回転などの操作や、ペン先の操作で呼び出せるオンスクリーンショートカットなどにも対応している。
ディスプレーサイズは26.9型だが、従来のWacom Cintiq Proシリーズと比べてベゼル幅が狭くなっていることで、デッドスペースが減っている。なお、Wacom Cintiq Pro 27の設置にはスタンドもしくはディスプレーアームの使用が必須。アームを使用する際は、背面の100×100mmのVESAマウントインターフェースを使用する。
専用スタンド(別売り、直販価格7万2380円)は、ディスプレーの傾きを前後で13~77.5度に調整できる。また、左右それぞれ20度ずつ回転も可能。
画面の側面には1/4インチネジ(UNC)の穴を搭載しており、別売りの拡張テーブルを装着して小型のキーボードや資料などを置ける。ネジ穴は左右1つずつと上部に2つ、計4つ搭載している。
また、今回のWacom Cintiq Pro 27から新世代のタッチペン「Wacom Pro Pen 3」が付属する。従来のペンに比べて形状が変化し、ペン全体が細くなっている。ペン先も従来より細く、露出している芯が長くなっているので、ペン先の視認性が上がっている。
パッケージにはグリップ部分やサイドボタンの交換パーツ、そしてペン内部に搭載して重心を換えられる真鍮製のバランスウェイトが付属。ペンを自分好みにカスタマイズできる。
接続インターフェースはUSB Type-C×2、USB Type-A、HDMI、Mini DisplayPort、電源ポートを背面に備えている。USB Type-CがDisplayPort Alt Modeでの映像出力に対応している場合は、USB Type-Cケーブルと電源ケーブルを接続すれば使用できる。
DisplayPort Alt Modeが使用できない場合は、USB Type-CもしくはType-Aと電源ケーブルを接続しつつ、HDMIもしくはDisplayPortでの映像出力が必要。
同社では製品の発売に先駆けて、9月26日に記者説明会を開催した。今回の説明会では、スタジオコロリドのアニメ監督、石田祐康氏も登壇。同氏は従来製品の「Wacom Cintiq Pro 24」を使用しており、それと比べた時の使用感を語った。同氏は新しくなったWacom Pro Pen 3が特に気に入っているとのこと。
鉛筆を使うことに慣れているため、細さや軽さが鉛筆に近いWacom Pro Pen 3が使いやすいという。また、画面のリフレッシュレートについても、60Hzから120Hzになったことで快適に作業できるようになったとのこと。
リフレッシュレートが高ければ、画面の反応はよりアナログで絵を描く感覚に近くなるので、「紙で描くことに慣れているから、デジタルでもなるべく紙に近い感覚で作業したい」と考えているクリエイターも注目の製品と言えるだろう。
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