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工場や飲食、物流の現場にあふれる紙のチェックリストやレポートをデジタル化する「カミナシ」

2022年10月05日 11時00分更新

 世間では随分前からペーパーレス化が謳われているが、まだまだ大量の紙が使われている現場はたくさんある。中でも根強い紙文化が根付いているのが、製造業の工場だ。特に食品工場では衛生面からも、健康や身だしなみ、設備などの細かいチェックが必要なのだが、これらすべてを紙で管理しているところが多い。

 このようなアナログのボトルネックはITで解決するのが一番。そこでオススメしたいのが「カミナシ」だ。カミナシが手がける現場DXプラットフォームで、JR東日本スタートアッププログラム2021 優秀賞や第34回 中小企業優秀新技術・新製品賞 ソフトウェア部門 優秀賞を受賞している実力派。設立は2016年で、2021年3月にはシリーズAで11億円の資金調達を行なっている。

 今回は「カミナシ」のアカウントをお貸し頂いたので、実際に使い倒してみたレビューを紹介する。

現場DXプラットフォーム「カミナシ」

業務に合わせて現場でノーコードでアプリを作成

 工場の情報を紙で管理すると、現地に行かないと内容を確認できないという場所の制約が発生する。従業員側も忙しい時に手書きするのは面倒なので、チェックが抜けたり、さらには作業そのものを失念してしまうこともある。チェックした用紙は責任者がとりまとめて、Excelなどに手入力しなければならない。本部が入力する際でも、今度は紙の郵送という手間が発生する。

 工場では現場の様子をデジカメで撮ることも多いが、データの出し入れに時間がかかってしまう。さらに、Excelや画像データは関係者との間で大量のメールに添付されて飛び交うことになる。何とかデジタル化したデータも共有フォルダに眠ってしまい、利活用されないというのももったいない。

 それぞれの工程で消費する紙や時間はたいしたことがないかもしれないが、毎日毎日塵が積もると山になる。多拠点に展開する企業であれば、紙代も郵送代も人件費も馬鹿にならない。

 これらの課題をまるっと解決してくれるのが「カミナシ」だ。「カミナシ」は現場の管理者が業務に合わせて、ノーコードで現場管理アプリを作成し、現場にタブレットを設置して従業員にレポートを作成、提出してもらうサービスだ。従来は面倒だった承認作業もデジタルなら超簡単に進められる。データはクラウドに保存されるので閲覧が簡単だし、必要に応じてExcelに出力することも可能となっている。

 現在、「カミナシ」は200社5000現場に導入されており、ロイヤルフードサービスやルートインジャパンといった大手でも導入されている。ユーザー属性としては、IT部門はたった6.2%で、非IT部門が93.8%にもなるという。年齢では40代と50代で58.6%と過半数を占めており、比較的上の年代でも活用しているのがわかる。月額料金は10アカウント月額6万円~(税別)となる。

管理者アカウントでユーザーを登録 CSVファイルでもOK

 まずは管理者アカウントでログインし、ユーザーを登録する。ここで注意したいのが、「カミナシ」のユーザーとは、アプリを利用する全従業員という意味ではないということ。現場で利用するiPadもしくはiPhoneについて、1台ごとに1ユーザーとカウントされる。10現場それぞれに10人いて、100人で利用する際も、契約は10ユーザーでOKだ。

ユーザーを登録する

 続いて、現場と現場グループを登録する。小さな工場であれば、たとえば東京というグループの中に大田区と世田谷区の工場を登録するようなイメージだ。規模が大きいなら、大田区工場というグループの中に製造部門1、製造部門2、という現場を設定することもあるだろう。

 利用する従業員は「組織設定」画面の「従業員」で追加できる。人数が多い場合は「従業員インポート」タブでCSVファイルを読み込ませれば、まとめて登録できる。

現場を登録する

従業員名簿を登録する

業界ごとにテンプレートが用意されているので、選んでカスタマイズ

 早速、帳票を作成してみよう。「ひな形」メニューから「ひな形を追加」をクリックし、テンプレートを選択する。飲食やホテル、物流といった業界別に多数のテンプレートが用意されているのがありがたい。

 アイコンを選んだり、表示レイアウトを指定したら、質問と選択肢を設定する。「はい」「いいえ」や「○」「×」で回答させるものから、従業員の名前を選ばせたり、体温を数字で入れたり、現場の写真をiPad/iPhoneで撮影させたりできる。

 条件分岐も可能で、たとえば体温を入力させる際、ルールとして「37.5度以下」と設定しておくと、37.6度以上だとルールから逸脱したと判定される。その場合、警告メッセージを出したり、さらに質問を追加したりできる。

 このあたりはプログラムを作っているようなイメージだが、完全にノーコードなのでマウス操作でOK。最初は単純な一問一答からチャレンジしてもいいだろう。

ひな形をテンプレートから選ぶ

「従業員健康チェック」のテンプレートをカスタマイズする

体温と体調、手指の傷、爪の長さなどをチェックする

 続けてスケジュール設定を行なう。ひな形を作成したら、決まったタイミングでユーザーに報告させることができる。「スケジュール」メニューから「スケジュールを追加」をクリックし、現場やタイミング、通知先などを設定。右上の「保存」をクリックすれば、準備完了だ。

帳票をチェックしてもらうスケジュールを設定する

 現場でレポートを作成してみよう。iPadもしくはiPhoneに「カミナシレポート」というアプリをインストールする。似た名前のアプリがあるので間違えないように。アプリ起動時にはカメラへのアクセスが求められるので、「OK」をタップして許可しておこう。

 ユーザーアカウントに紐付けられている現場が表示されるのでタップすると、その日に実施すべき項目が表示される。スケジュールが登録されている帳票は大きく表示され、残り時間もわかる。もし、個人所有のスマホを使うときなどは、壁に帳票へのリンクをQRコードで表示しておき、読み込んでもらうことでアクセスすることも可能だ。

提出するレポートを選択する

画面の指示に従って報告を行なう

 ひな形で指定した手順にそって回答していけばいい。iPadで見やすく、操作しやすいデザインになっているので、ITに詳しくない人でも迷わず利用できるだろう。単に○×を選択する以外にも、自分の名前を選択したり、数値を入力したり、数式を入れられる。文章で何か報告してもらうならテキスト欄を用意すればよい。

手書き署名にも対応し、承認フローも追加できる

 さらには、手書きで署名させたり、計算させることもできる。従業員一覧にない人がレポートを作成したり、作業時間などを計算する時に利用しよう。

「従業員名の選択」をタップすると登録済みの従業員から自分の名前を選択できる

体温などの数値を入力してもらうことができる

質問に画像を表示したり、強制的に撮影させたりできる

ルールから逸脱していると警告が表示される。メッセージはカスタマイズできる

指で署名してもらうこともできる

 各現場で上げてもらった内容は「レポート」画面で一覧できる。逸脱の有無も表示されるので、問題がありそうなレポートだけ詳細を確認できる。レポートが大量にある場合は、「フィルター」をクリックして、レポート名や逸脱の有無、現場などで絞り込むことも可能。ちなみに、レポート一覧で表示されるレポートは、閲覧しているユーザーが紐付けられている現場のものだけとなる。

レポート一覧で上がってきたレポートを確認できる

詳細画面では内容を確認できる

 レポートによっては責任者などの承認が必要なこともあるだろう。「カミナシ」は承認フローにも対応しており、複数の承認者を設定することもできる。

 「承認」メニューから「承認フロー」タブを開き、「承認フローを追加」をタップ。承認ステップで承認者を選択すればいい。その後、ひな形の編集画面で、承認フローと紐付ければいい。

 承認フローと紐付けられた帳票でレポートを作成すると、自動的に最初のステップに登録された承認者に通知が飛ぶ。「承認」メニューの「承認」タブを開くと、自分が承認者となっているレポートが一覧表示される。詳細を開き、内容を確認したら、「承認」もしくは「差し戻し」ボタンをタップすればいい。複数の承認者が設定されている場合は、「承認」をタップすると、次の承認者に通知が飛ぶ。なお、一度承認したレポートを取り消すことはできないので注意しよう。

 これまで現場が書き込んだ紙を上長の所に持っていき、ハンコをもらっていた作業が、iPad/iPhoneでぽちぽちと打つだけで済んでしまう。上長が現場にいなくてもリアルタイムに承認できるので、スピード感は段違い。

 上長としても、いちいちハンコを出して押印するという作業から解放される。一括承認機能もあり、複数のレポートをまとめて承認することもできる。大きな時間の削減となるだろう。

「承認フロー」を追加し、承認者を設定する

ひな形に承認フローを設定する

承認者は「承認」もしくは「差し戻し」をタップするだけ

ペーパーレスだけでなく、業務の見える化、効率化、データ活用なで実現

 「カミナシ」はシンプルなUIながら、工場などの現場で必要とされる機能を網羅しているので便利に利用できる。紙のチェックシートはA4用紙1枚に収めようとして、とても小さい文字が並んでいることがある。シニアの方だと読みづらいが、iPadで文字を大きく表示すれば圧倒的に見やすくなる。ボールペンで細かく記入するよりも、タブレットとタップする方が格段に楽だ。

 経営側としても、今まで決まりだからと惰性で行なっていたレポート業務の結果がクラウドで見える化されることで、業務を効率化したり、課題を発見したりできるかもしれない。

 今回は試さなかったが、チェックリストなどの多言語化も対応している。翻訳可能な言語は英語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、ベトナム語、ネパール語、ポルトガル語、タイ語、タガログ語、インドネシア語の9言語。外国人を雇用している工場などでも問題なく活用できる。

 ワークフローに紙が入っていると、業務効率が上がらないので、DXの一歩としてまずはペーパーレス化にチャレンジしよう。「カミナシ」であれば、単なるペーパーレス化だけに留まらず、業務の見える化から効率化、そしてデータの活用まで実現できる。現場にあふれる紙に困っているなら、まずは問い合わせてみてはいかがだろうか。

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