社会インフラを支えるATOSに関わる
大隅社長は、1971年8月、新潟県佐渡島出身。1996年3月、東北大学大学院工学研究科卒業後、同年4月に日立製作所に入社。それ以来、18年間に渡り、東京圏輸送管理システム「ATOS」の開発に携わり、2012年にはATOSセンタ長に就任している。
ATOSは、自律分散型アーキテクチャーで構築された世界最大規模のリアルタイム制御システムであり、東京100km圏内の高密度線区において、安心、安全、確実な列車運行を24時間支えている。
「ATOSという社会インフラを支えるシステムに関わったことで、いかに高い品質のモノづくりをするか、利用者を考えたシステムはどう構築すべきかということ、そして、それらをお客様との協創によって取り組んできた経験は大きい。日立GLSが担当する家電や空調は、量産型ビジネスではあるが、家庭内で使っていただくという点では、品質はとても大切であり、ビジネスを成長させるには、利用者の理解がとても大切である。分野は違うがATOSでの経験は、お客様や利用者を第一に考えるという点で、家電事業や空調事業に生かすことができる」と述べる。
ATOSを担当している期間、米サンダーバード大学でMBAを取得。2015年には、建物の省エネ導入支援などを行うビル街区ソリューションセンタ部長を経て、同年には米Hitachi Consulting (現日立ヴァンタラ)バイスプレジデントに就任した。2018年に日本に戻り、制御プラットフォーム統括本部事業主管として、AIを活用して熟練の技術者のノウハウをメンテナンスやリペアサービスに活用する事業の立ち上げに関与。2019年にはライフ事業統括本部デジタルフロント事業本部長として、アジアにおけるデジタルスマートシティの立ち上げや、コネクテッドカーに関するセキュリティ、粒子線がん治療事業やAIでのがん検診推奨事業などに携わり、2020年にライフ事業統括本部デジタルフロント事業部長に就任。2022年4月に、日立グローバルライフソリューションズの取締役社長に就任した。
自らのキャリアを、「人々のQoL 向上に向けた取り組みを、様々な分野で、しかもグローバルで経験してきた」と振り返り、「新たな事業に挑戦する機会が多く、その分、多くの失敗を繰り返してきた。それらを通じて、千本ノックのようにして身につけてきたものがある。デジタルを活用した空調や家電、ソリューションを作り上げる上では、これまでの失敗や苦労を生かすことができる」と自信をみせる。
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