週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

カメラ、バッテリーライフ、5G、そして新機軸のZシリーズ

ThinkPadが目指す「ハイブリッドワーク時代の姿」とは? 大和研究所が解説

2022年08月06日 13時30分更新

ハイブリッドワークを意識したX13s

 X13sは、ThinkPadシリーズで初めてArmアーキテクチャーを搭載した(Windows on ARM)ノートPC。すなわち、Windowsが動作するノートPCでありながら、SoCにスマホなどで使われるSnapdragonを採用している。本機は、ハイブリッドワークでの使用を前提としており、開発にあたって次の3つのポイントを柱に据えた。

・実利用環境でも1営業日以上のバッテリーライフの確保
・場所を問わず5G回線に常時接続可能な環境の提供
・高いレベルの携帯性と高品質なコラボレーション体験の実現

 説明会では、バッテリーライフの確保についてフォーカスした。

 省電力化にあたって、ARMアーキテクチャーの2つのコア(Big Core/Little Core)のうち、低消費電力コアのLittle Coreに注目した。2つのコアは作業負荷(ワークロード)によって切り替わるので、SoCのパワーのパラメーターをチューニングし、Little Coreの利用対象を拡大、オフィスユース向けに最適化したという。

画像右下がSoCパラメーターの調整前後のイメージ

 最適化の結果、オフライン動画再生で約28時間、Microsoft Teamsの音声会議は約14.6時間、Microsoft Teamsのビデオ会議は約7.4時間の駆動を実現したとのこと。

 他社のWindows on ARMのPCと違いX13sは、従来のThinkPadシリーズ(x64系)で採用していた「トップクラスの電力効率」「バランス」「最適なパフォーマンス」の3つのパワーモードを備える。

「最適なパフォーマンス」では、膝上での利用時に発熱を抑制する仕組みを実装している

 また、元来エンタープライズ向けではないSnapdragonに、ThinkPadブランドとして企業や組織向けの機能を適用することも必須だったという。

企業向けのセキュリティ機能や管理機能を考慮して開発を進めた。また、従来のThinkPadと操作感や周辺機器の互換性も重要とした

 エンタープライズ向け機能実装にあたって、従来のThinkPadシリーズで使われてきた200以上の機能群の優先順位を検討した。その後、Snapdragonの開発元であるQualcommとの間で、X13sに必要となる機能をすり合わせた。また、表化ツールの互換性も検討し、Qualcommとも同等の評価が可能となるよう評価方法も再構築したという。

 懸念要素の一つであるアプリケーションの互換性は、80%以上(2022年5月時点)としている。なおレノボは、QualcommとMicrosoftとの協業のもと、ユーザーからのフィードバックと検証結果を踏まえて互換性の向上に努めているとのこと。

企業などで使用頻度の高いおよそ100のアプリケーションを社内調査結果に基づいて抽出し、検証を実施した

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう