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ソフトバンク宮川社長、有事の際のローミングで緊急通報だけでなく、300kbps程度の通信の提供を提案

2022年08月04日 17時10分更新

 ソフトバンクは4日、2023年3月期第1四半期の決算説明会を開催。その質疑応答において、7月に発生したKDDIの大規模通信障害への受け止めや問題発生時の他キャリアへのローミング接続について、同社代表取締役 社長執行役員兼CEOの宮川潤一氏が考えを示した。

ソフトバンク宮川社長

2018年に大規模通信障害を起こしたソフトバンク
KDDIの障害について「自分事と思って、色々考えた」

 ソフトバンクは2018年12月に、LTE交換機内に含まれた暗号化通信に必要な証明書の期限切れを原因にして、約4時間半にわたって全国的に通信ができないという障害を発生。当時、同社の副社長兼CTOだった宮川氏も対策や説明に追われた(「ソフトバンク、通信障害の概要説明 LTE交換機のマルチベンダー化に投資」)。

 当時の体験からも、KDDIの障害について「対岸の火事という認識はない。自分事と思って、いろいろなことを考えた」とする。ソフトバンクのネットワークではその構成上、同じ事象は発生しないのではないかという結論に至ったが、違った形での障害が起きることは十分に考えられる。「社内で対策チームを作って、一から見直せ」と指示をしたという。

 また、4年前の障害時からの変化として、「社会インフラとしての重要度がさらに増していると肌で感じている」と語る。特に問題となるのが「認証と決済」。ECサイトの2段階認証、PayPayに代表されるコード決済など、スマホが当たり前になっているからこそ成立している分野があり、その当たり前が当たり前でなくなる状況への備えが必要となる。

障害時の他キャリアへのローミングは緊急通報だけでいいのか?
最低限の通信を提供できる仕組みを作れないか

 そこであらためてクローズアップされているのが、緊急時の他キャリアへのローミング接続だ。今回の通信障害では110や119といった緊急通報も不可能になったこともあり、緊急呼だけでも他キャリアにローミングできないかといった議論も出てきているが、宮川氏は本当の有事の際に緊急呼だけでパニックが収まるのか、110や119に発信が集中してしまう結果、逆に機能しなくなるのではないかと指摘する。

 宮川氏は、まだ他キャリアとの話し合いを開始していないと前置きしつつも、「(有事の際に)なにかしらのローミングなどの機能を本気で考える時期が来たのではないか」として、「他キャリアからMVNOの構造を受けておき、緊急事態に切り替えられるeSIMのような仕組みを用意するのがいいのでは」と提案。300kbps程度の最低限の通信を提供できないか検討していきたいとした。

 

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