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SORACOM Discovery 2022で披露されたメーカー発新規事業の舞台裏

アシックスとオムロンが語る新規事業の進め方 鍵はスモールスタートとフィードバック

2022年07月29日 10時00分更新

1つのロボットに複数の付加価値を加えて業務効率化を実現する

 オムロンソーシャルソリューションズ澤村氏は「24時間稼働できる複合ロボット「Toritoss」のご紹介」といった内容でプレゼンを行なった(関連記事:清掃、警備、案内までこなす複合型ロボット「Toritoss」とSORACOM)。

 オムロングループは社会課題を解決する、という企業理念に則ってFA機器やヘルスケアなどを手がけているが、その中でオムロンソーシアルソリューションズ株式会社は世界中の人々が安心・安全・快適に生活し続けられる豊かな社会を創造する、というミッションの元、幅広い領域で活動している。

「少子高齢化がどんどん進んでいて、大きな社会課題となっています。それを解決する手段として、この複合型ロボットToritossを開発しました。特に労働者不足が顕著である飲食サービス業界や小売業界といったサービス業に対して、清掃と警備・防犯、そして広告案内という3つの機能を持った複合型ロボットをリリースする流れになりました」(澤村氏)

オムロンソーシアルソリューションズ株式会社 ソーシャルデザインセンタ 生活オートメーショングループ 澤村一輝氏

 昨今、ロボットのニュースは時々耳にするが、実際に使われ続けるというケースはまだ少ない。それは、どうしてもロボットが作業を行なっても、人の補助作業が発生してしまうためだ。1人分の働きもできないのでは、だったら今は人を雇った方がいい、となってしまう。澤村氏はロボットを不要不急ならぬ「必要不急」と表現した。

「事業を始める際に、ロボットがなぜ広がっていないのか、というお客様の声を取り入れないと、他のロボットと同じようなことになってしまうと考え、開発に取り組みました」(澤村氏)

ロボットには人の作業がかかることと1人分の活躍ができないという課題がある

 そこで開発したのがToritossだ。開発のコンセプトは簡単、安全、安心という3つにこだわった。デジタルに詳しくないユーザーでも簡単に操作でき、人や棚に当たって問題を起こさないように動き、導入後も充実したアフターサービスを提供するソリューションを目指したという。

 Toritossにはスケジューリング機能と自動充電機能が搭載されており、設定した時刻になったら自動的に稼働し、掃除や見回りをして、その後は勝手に充電するといったことが可能。そのため、人の手をあまりかけずに運用できる。

Toritossは手間をかけずに運用できるのが特徴

 また、一部の清掃を行ない、一部の警備を担い、防犯の効果もあり、その上で広告も出すといった付加価値を複合させて、1人分以上の価値を提供しているという。

「Toritossの販売も開始しており、スーパーマーケットやオフィスビル、商業施設などにご活用いただいております。例えばスーパーだったらポップが飛び出てたり、カートがいっぱいあったりと環境がいろいろ違う中で、現場でトライアンドエラーを繰り返すことで、安全に走れるようになりました。トライアンドエラーをするのは、とても大事だと思います」(澤村氏)

さまざまな環境でトライアンドエラーを繰り返して使えるようにすることが重要

 プレゼン後、「1個の業務を代替するのではなく、複合的にいろいろなことをすることによって効率化を図るというところがメリットになりますか?」と二神氏より質問があった。

「そうです。ロボットと聞くと人の仕事を奪うイメージがありますが、どちらかというと人のパートナーです。例えば、清掃業務の中で、少ししんどい部分を効率化して、注力しなければいけない部分は、人がしっかりやるというような住み分けで、ご活用いただけたらなと思ってます」と澤村氏は答えた。

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