1歳児と5歳児の保護者をしています盛田諒ですこんにちは。このごろ更新できていない育児日記「ほぼほぼ育児」を連載しております(しっかりしろ)。
最近家事育児の便利グッズとしてスマートスピーカーが紹介されることも増えました。わが家でもAmazon Echo Dotが活躍中。ニュースの読みあげ、ロボット掃除機の運転、ホットクックの塩分計算に役立ってくれています。5歳児が小さかったころは「ピカチュウトーク」で遊んでいました。
そんなスマートスピーカーによる家事育児支援に注目しているのが佐賀市です。
アマゾンは佐賀県佐賀市で、家事・育児への音声アシスタントの有用性に関する実証実験を開始します。8月上旬から「Amazon Echo Show 5」を同市内在住の3歳以下の子どもを持つ父親約30名に無償提供し、子育ての役に立つかを検証し、9月末に実証実験の結果を公表するというもの。
Amazon、佐賀市と家事・育児参画促進事業における実証実験を開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001499.000004612.html
佐賀市でそんな取り組みをすることになったのは、坂井英隆市長が4歳児と0歳児を育てる現役パパであることも1つの理由。昨年12月に育休を取ったとき、声だけでおむつ替えなどの記録ができるスマートスピーカーの便利さに感激したということでした。
「うんちが出たとかいうことが音声で記録できて、しかも2人とも同じ情報が見られるのがとても便利。『こういうのいいね』と妻も言っていた。買い物に行ったときも何の在庫がなかったということを忘れがちなので、そういう情報を家庭内で共有できるのもいいなと思う」(坂井市長)
取り組み自体は小さなものですが、坂井市長の若い感性、役立ちそうなものは試してみようというフットワークの軽さに好印象を受けました。実証実験開始に先立ち、7月18日に佐賀市立図書館で開催された父親向け座談会を取材しました。
佐賀市役所の育休取得率が過去最高に
座談会のメインは、アマゾンのスタッフがAmazon Echo Show 5がどう育児に役立つのかお父さんたちに紹介するというもの。まずはお父さんたちが日頃家事育児に取り組む中で感じている困りごとを共有するワークショップから始まりました。
冒頭に挨拶をしたのが坂井市長。
「12月に第2子が生まれて、1人目のとき育児休業は言い出しづらかったが、今回思いきって取ってみた。育児に参加してみたが休暇というには程遠い。自分の時間がまったくない。色んなことを同時にやらなければいけない育児の大変さを身をもって実感した」
そう話すと、会場のお父さんたちが一様にうなずいていました。ちなみに市長が育休を取ったことがきっかけとなって、佐賀市役所の育休取得率は過去最高になったそうです。すばらしいですね。きっと復職後の支援策も充実していくことでしょう。
育児あるあるに涙が出そう
自己紹介後に始まったワークショップは、お父さんとしての悩みをふせんに書き出し、ホワイトボードに貼り、グループごとにどんなものがあったか発表していくというもの。内容はすべてあるあるすぎて涙が出そうになりました。一例を紹介します。
●お父さんの悩み(一例)
【寝かしつけ】
・寝るとき「パパはイヤ!」と言われて心が傷つく。
・子どもが寝たとき帰宅して、子どもが起きてしまう。
・寝かしつけをすると自由時間がとれず、残業もできない。
【お風呂】
・パパとお風呂入ろうかと言うと「ママとー!」と言って走り去られる。
・お風呂あがりにローション(保湿剤)を塗り忘れる。
【離乳食、ごはん】
・離乳食に何を作っていいのかがわからない。
・「おいしくないから」と妻に作らせてもらえない。
・朝起きた瞬間に「おなかすいたー」と言ってくる。
【おむつ】
・おむつのギャザーを出し忘れてうんこが漏れる。
・チャイルドシートに漏れてしまったことがある。
・おねしょ後のふとんを洗うのが大変。
【おでかけ】
・買い物に行ったとき走り回ってしまう。
・散歩に行ってもすぐ「抱っこー」になる。
・チャイルドシートに入りたがらない。
【身支度】
・三つ編みができない。
・服のコーディネートが難しい。
・登園時、なかなか中に入ってくれない。
【しつけ】
・おもちゃを片づけてくれない。
・YouTubeやテレビを見すぎてしまう。
・ごはんを食べているとき、テーブルに乗って遊んでしまう。
【教育】
・子どもの「なんで?」にちゃんと答えられているかわからない。
・子どもたちのケンカを仲裁するのが大変。
【妻との関係】
・妻のため息が気になる。
・シャンプーを詰め替えるのを忘れて怒られる。
・家のことを話し合う時間がなく、けんかが増える。
アレクサが手伝える3つのこと
こうした育児あるあるオンパレードを受け、Alexaには一体何ができるのかということをアマゾンが紹介。大きく3つのカテゴリーで役に立てると説明しました。
・ハンズフリー:手がふさがっていてもタスクができる
・ルーチン管理:やることを忘れず生活リズムもしっかり
・子育てスキル:細かいニーズのためのお役立ち機能
「ハンズフリー」は、たとえば「牛乳を買う」「郵便物を出す」「電池を替える」など日常的なやることをリマインダーとして読み上げてもらえます。ほかにもタイマーを料理に使ったり、ロボット掃除機を動かしたりということができます。
「ルーチン管理」は、指定の時間に「着替えの時間です」「おでかけの時間です」などと声をかけてもらうことで、朝の身支度に役立てられます。毎週火曜日朝8時に「燃えるゴミの日です」と言ってもらうなど、家事のリマインダーにも使えます。
「子育てスキル」は、たとえば育児記録アプリと連携させれば、おむつ替えやミルクのタイミングを音声で記録できます。サンバのリズムで楽しく歯みがきができるスキル、絵本を読み聞かせしてくれるスキルなど、育児系スキルはたくさんあります。
こうした形でざっとEchoの機能を説明した後、各テーブルでアマゾンスタッフがデモンストレーションを交えて実例を紹介しました。
シャンプーを買い忘れないようリマインドを設定する方法、あるいは保育園の提出物など期限があるものについて、入力したグーグルのToDoリストの予定を聞くといった使い方を紹介。お父さんたちは「へえ〜」と感心した様子を見せていました。
お父さんも育児で悩んでいる
機能紹介を終えたところで座談会は終了。印象に残ったのは、参加したお父さんが失敗談を聞けたことがうれしかったと言っていたことでした。
「佐賀市内在住インスタグラマーがイベントを紹介したのを見たのが参加のきっかけ。ただ、最近の投稿で父親(夫)の家事の様子を投稿していて、ものすごい家事に参加していたので、『行くのやめようかな……』と思っていたが、参加してみたらみんな共通の悩みを持っていることがわかって、意識改革ができた」(参加したお父さん)
子育てがうまくいかないのは自分だけ?周りは一体どうしてるの?かつて母親のものとされていた悩みは、いまでは性別を問わず「親の悩み」となってきました。そのとき必要なのは共通の悩みを隠さず共有できる横のつながりと、悩みを少しでも解消するための、スマートスピーカーのような新しいサービスやテクノロジーなのでしょう。
アマゾンが自治体とともにスマートスピーカーでこうした実証実験をするのは初めてということ。今回の取り組みが他の自治体にもいい影響を与え、官民連携による子育て支援の取り組みが広がっていくといいなあと教科書的な感想を持ちました。できればAmazon Echo Show 15を無償提供してくれるといいなと思うんですがいかがでしょうか。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ。5歳児と1歳児の保護者です。Facebookでおたより募集中。
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