春先に各社がこぞって発表した新作が、初夏を過ぎると本格的に店頭に出揃い、活況となる。新鮮な華やぎに包まれたショップで気になるモデルを手にとってみるのは、時計愛好家ならずとも心躍る体験だ。多くの人はこの時期「ボーナス」という追い風もあったりして、とかく時計選びに適した時節なのだ。
今年は、新作のシーンがいつにも増して精彩を放っている。比喩ではなく、少なからぬ名作や定番の最新作が、文字通りカラフルな意匠でアップグレードされているのだ。新色の展開は時計業界で特異な手法ではないけれど、2022年のそれは従来の路線とは一線を画し、時計の魅力や価値を意外な角度から高めるアイデアに満ちている。「コロナ禍」でにわかにモノクロームの様相を呈することとなった世相に希望をもたらすための、各社のメッセージやサジェスチョンのようにもとれるトレンド。注目の3傑をご覧あれ!
大胆不敵な「大人の艶」で魅せる新境地!
ブライトリング/ナビタイマー B01 クロノグラフ 43
さまざまな時計のカテゴリーの中でも、「パイロットウオッチ」は常に高い人気を誇る。精度、視認性、耐久性、機能性といった航行に必須の要素を網羅したパイロットウオッチは日常生活においても抜群のポテンシャルを誇るだけでなく、必然的に研ぎ澄まされた機能美あふれるデザインが、品格ある大人のツールとして市井の人々をも魅了するのだ。
ブライトリングの代表作「ナビタイマー」は、その筆頭として長きにわたって愛されてきた定番。1952年に世界で初となる「航空用回転計算尺」を搭載したモデルとして開発され、以来、基本デザインを変えないまま着実に進化してきた名作が、70年の節目となる今年華麗かつダイナミックな変化を遂げた。
このモデルの航空用回転計算尺は特殊な目盛を刻んだ回転式ベゼルで、操縦を妨げることなく飛行に必要な各種の計算が行える。現代のようなデジタル計器のなかった往時のパイロットにとって、まさに救世主のような存在だったのだ。果たしてナビタイマーは国際オーナーパイロット協会(AOPA)の公式時計として旅客機、空軍、果ては曲芸飛行を行うエア・ショーなど多彩な需要に応えながら世界中の空を駆け巡ることとなったが、最新作では回転計算尺が従来のすり鉢状から平滑な構造となり、ケースもより機能的で洗練されたフォルムに。仕上げが従来のフルポリッシュからポリッシュとヘアラインを組み合わせる手法に変わり、高級感も増した。
こうした進化とともに、ナビタイマーのファンをもっとも驚かせたのはダイヤルのカラーバリエーションだろう。アイスブルーやミントグリーンといった従来の航空時計の概念を超える配色はナビタイマーが秘めていた別の魅力を引き出し、ファッションカルチャーとの境界も崩しながらデイリーユースでの価値をさらに高めた。
このモデルのナビゲートの対象はもはや空路だけにあらず。あらゆる人々の、個性豊かな毎日だ。
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