山根博士のグロスマレビュー
ライカとコラボ、1インチセンサー搭載のシャオミ「Xiaomi 12S Ultra」中国版レビュー
シャオミが中国で発売した「Xiaomi 12S Ultra」は「最強カメラフォン」と呼ぶにふさわしいスペックの製品だ。ライカと共同開発したカメラは1インチセンサーを搭載、本体は高級カメラを思わせるレザー調仕上げで上品な作りとなっている。今までのシャオミの製品とは一線を画する存在となるXiaomi 12S Ultraをさっそく購入して使った。
Xiaomi 12S UltraはSoCにSnapdragon 8+ Gen 1を搭載するハイスペックなスマートフォンである。メモリーは8GBまたは12GB、ストレージは256GBまたは512GBとなる。今回購入した製品は12GB+256GBの構成モデル。蛇足だが8GBモデルは価格が安めということもあってシャオミの中国のオフィシャルストアですぐに完売となってしまったようだ。中国での各モデルの価格は8+256GBが5999元(約12万3000円)、12+256GBが6499元(約13万3000円)、12+256GBが6999元(約14万3000円)となる。
ディスプレーはAMOLED(LTPO2)6.73型(3200×1440ドット)、120Hz駆動に対応する。ディスプレーの両端は角を落したエッジ形状だが、カーブは緩く回り込みは側面の1/4程度なので誤タッチや誤操作はしにくいようだ。なお、SIMカードスロットは本体下部に配置されている。
裏面はブラックのビーガンレザーで覆われており、カメラのような肌触りが心地よい。またトリプルカメラを大型の円形ガラスでカバーするという大胆なデザインはこれまでのスマートフォンにはなかったもので、新世代のカメラフォンであることを意識させる。この外観はシャオミとライカのコラボレーションを強く意識させるアイコニックなデザインと言えるだろう。
カメラ部分の円形ガラスの台座は、本体から2mm程度でっぱっている程度。その下の長方形の台座もでっぱりは1mm以下だ。この円形ガラスは金色で縁どられているが、実際に触ってみるとそれほど派手には感じられない。カメラは中央に位置するのが4800万画素の超広角レンズで、Leicaのロゴ側にあるのがメインの5000万画素広角カメラ。メインカメラのセンサーは1インチのソニーIMX989を搭載する。そして背面の中央側に位置しているのが光学5倍、4800万画素のペリスコープカメラだ。ほかにも深度測定用にToFカメラも搭載している。
スピーカーは本体上下に搭載、Harman/KardonのDolby Atmos対応。カメラ性能に目を奪われがちだが、音楽再生も十分な性能を有している。
OSはAndroid 12ベースのMIUI 13を搭載。ホーム画面から左側へスワイプするとウィジェット風の画面となる。なお中国販売モデルだがシャオミのアプリストア「GetApp」にはGoogle Playがプリインストールされており、Googleのアカウントを登録することでアプリのインストールも可能だった。
ベンチマークはAnTuTuが1049248、Geekbench 5のシングルコアが1293、マルチコアが4086。Snapdragon 8+ Gen 1の性能を十分に体感できる。全体的な操作にストレスを感じることはまったくない。
カメラは豊富なフィルターが魅力
カメラはライカとの協業により豊富なメニューやフィルターを備えている。カメラアプリを起動すると、標準で用意されているモードはPro、Documents、Video、Photo、Portrait、Night、Moreの7つ。写真撮影のPhotoモードでは、倍率は0.5倍、1倍、5倍がワンタッチで切り替え可能。倍率ボタンを長押しすると2倍、50倍、120倍のボタンも現われ、リニアに0.5倍から120倍までの切り替えが可能だ。20倍以上では画面右上に全体部分の縮小表示がされ、どのあたりを拡大して写しているかを表示してくれる。
ディスプレーの上部中央には「Leica」ロゴのアイコンがあり、タップで「Leica Vibrant」「Leica Authentic」の2つのモードを切り替えできる。Leica Vibrantはシャオミとライカ協業の仕上げ、すなわちコンピューティショナルフォトグラフィーを極めたモード。一方、Leica Authenicはライカらしい仕上げのモードとなる。このモード切替はVideo以外、写真撮影のすべての撮影モードで切り替えできる。
Photoモードでは右下に表示される円形アイコンからフィルター16種類を選択できる。フィルターにはLeica VIV(ビビッド)、Leica NAT(ナチュラル)、Leica BW NAT(白黒ナチュラル)、Leica BW HC(白黒ハイコントラスト)とライカ調の4つのフィルターも用意されており、ライカ風の仕上げでの撮影もできる。
Portraitモードにするとディスプレー下には3つの小さなアイコンが並ぶ。一番左はPro lensで、ボケの度合いをカメラの焦点距離に合わせて自動調整してくれる。35mmモノクロ、50mmのSwirly bokeh、90mmのSoft focusの3種類が利用可能だ。Portaitモードは他にもボケ(F値)の調整、ビューティーエフェクトが利用できる。
Videoモードでは、4K60fps、8K24fpsまでに対応。倍率は4K30fpsまでは最大デジタル15倍、それ以上は5倍までで利用できる。手振れ補正は「無し」「Steady video(弱)」「Steady video PRO(強)」と2段階の切り替え式。また、Portraitモード同様のビューティーエフェクトとボケ調整が動画撮影でも利用できる。ただし、ボケはF値ではなく0から100の間での調整になる。
夜景撮影のNightモードでは、倍率は0.5倍、1倍、5倍だけが利用可能。また写真とビデオの切り替えが可能で、ビデオも夜間撮影モードに切り替えできる。ただしナイトビデオは倍率や解像度の変更は不可。設定画面から「Auto night mode」をONにすると、暗い場所では自動的にPhotoモードからNightモードへ切り替わる。この自動切換えは写真のみで動画は対応しない。
ProモードではRAW撮影に対応。「RAW+JPEG」の同時撮影となる。5000万画素撮影の切り替えもクイック設定からワンタッチで可能。ディスプレー上にはRAW撮影中、5000万画素撮影中の表示がされモードを常に確認しながら撮影できる。
そして、その他のモードとなるMoreには5000万画素への切り替え、Short Video、VLOG、Supermoon、Multi camなど多彩なモードを利用可能だ。Multicamは0.5倍、1倍、2倍、5倍、10倍そしてフロントカメラの画像を同時に表示して、好みの画角・画質をタップして撮影できる。
最近の中国メーカーのスマートフォンは写真撮影時に機種名や撮影場所などのウォーターマークを入れることができる。Xiaomi 12S Ultraもウォーターマーク挿入に対応しているが、新たに「Leica watermark(ライカウォーターマーク)」が加わった。これは写真の片隅にウォーターマークを入れるのではなく、写真の下に余白を追加し、その部分にライカロゴと撮影条件が記録される。
写真のサイズはライカウォーターマークを入れても入れなくても変わらず、ライカウォーターマークを入れると画像サイズが余白分だけ下に大きくなるのだ。フィルムカメラ時代の印刷した写真の余白のようなイメージでもあるし、画像のExif情報を開かなくとも写真を見るだけで撮影条件がある程度わかるのは便利だろう。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります