検証担当・小野さんに聞くサイコムの実態
入社のきっかけは新聞折り込みの求人広告
ここからはサイコムの実態を知るため、従業員の方にお話を聞いていこう。まずは、主に新製品の開発や動作検証などを行なっている検証用スペースの主、小野さんだ。
もともと音楽をやっていたそうで、DTMがきっかけでパソコンに興味を持ったという。最初は普通に量販店などで買うつもりだったが、友人に相談したところ、「パソコンなんて作ればいいよ」と言われ、知識ゼロのままPC自作の道へ。
「友人とパーツを買い集めて自作したのが最初のパソコンです。そこからパソコンをいじるのが楽しくなっていきました。失敗も色々して、パーツを壊してしまったり、燃やしたりなんかもしょっちゅうでした」(小野さん)
最初はDTMのために作ったが、気づけばパソコンそのものが趣味になっていたという、自作erあるある状態に。失敗しても嫌にはならず、それが「楽しい」と感じられるというのだから、当時から検証作業に向いていたのかもしれない。
就職もパソコン関係に進んだものの、最初の職場は水が合わず、長くは続かなかったそうだ。それでもパソコンは嫌いにならず、次もパソコン関係の仕事をしたいと思っていたところで、サイコムの求人を見つけたそうだ。
「サイコムの求人は新聞の折り込みに入ってるような、地域情報紙の求人欄に載っているのを見て知りました。地元にBTOパソコンメーカーがあるなんて知らなかったんですよ。電話したら、スグに面接しましょうって言ってくれて、そのままアルバイトとして採用されました。働き始めたらものすごく自分に合っていて。かなり早い段階で、ここで頑張ろうと思ったのを覚えています」(小野さん)
ちなみに、求人広告にあったキャッチフレーズは「プラモデル感覚で組み立てられる」だったそうだ。パソコンを触ったことのないまったくの素人でも歓迎、という意味が込められていたのだろう。仕事を始めて1~2年もすると、技術や知識が増えていく。その頃にプロダクトマネージャーの山田さんが入社し、少しずつ製品開発に関しても話をする機会が増えていったという。
「こうしたら面白いんじゃないか、こんなパソコンないけど欲しいよね、といった話から誕生したのがデュアル水冷のHydroシリーズです。普通だったらこのモデルに水冷なんて付けないよね、というのを本当にやってしまいました」(小野さん)
そんな形で誕生したデュアル水冷のHydroシリーズは、今では「サイコムの顔」とも言える存在になっている。そして、これはまだ開発や検証担当となる前の話だ。現場からの声が上層へ届きやすく、製品開発にまでつながっていることからも、風通しのいいコミュニケーションがとりやすい職場だということが伝わってくる。
今の会社の雰囲気を聞いてみたところ、フランクな社風だそうだ。あれをしろ、これはダメといった締め付けはほとんどなく、楽しく仕事に集中できる環境とのこと。
「実はウチ、従業員や上司がプライベートでも一緒、というのがあまりないんです。仕事上がりに遊びに行こうぜ、っていうことがほとんどなくて。コロナ禍の前から会社のイベント……、例えば忘年会みたいな飲み会なんかも少なくて、コロナ禍以降は完全になくなりましたね」(小野さん)
これは従業員同士の仲が悪いのではなく、「適切な距離をお互いに置けている」という話だ。もちろん、プライベートで一緒に遊んでいる人たちはいるけれど、それはあくまで友人としての付き合い。同じ会社だから、という理由で無理に誘うことはしないのだ。このプライベートへ過度に干渉しないというところも、居心地の良さの一端なのだろう。
「もちろん合わない人もいますが、続く人は長いので人の入れ替わりはかなり少ないほうだと思います。平均年齢はちゃんと出していないのですが……たぶん、30台後半くらいかなと。毎年、平均年齢が1つずつ増えていく感じですね」(小野さん)
工場1階は組み立てに特化
現在は組み立て工場と修理サポート機能のみになった、従来からある社屋も紹介しておこう。建物は2階建てで、1階は組み立てや動作チェック、梱包、出荷までの製造スペースとして使われている。組み立てに使うPCパーツは棚にズラリと並べられており、必要なものをピックアップして組み立てるという手順になる。
ちなみに、梱包にもひと工夫ある。完成したBTOパソコンはPCケースが入っていたダンボールに戻されるが、そこからさらに大きなダンボールに入れて、緩衝材で隙間を埋める。輸送時の事故を可能な限り減らすためだ。
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