“インテルはPCゲームの裾野を広げる”
「インテル Blue Community Project Kick Offプレスイベント」
2022年6月17日、インテルは東京タワーの真下にあるeスポーツパーク「RED° TOKYO TOWER」において、「インテル Blue Community Project Kick Offプレスイベント」を開催した。
「インテルが今後PCゲーム業界へのコミットメントを深め、さらにPCゲームをプレイする環境の裾野を広げ、もっと盛り上げようという趣旨のプロジェクトが立ち上がりました!」というのがイベントの趣旨となる。結論から言うと我々自作erを沸かせるような発表はなかったのだが、いよいよインテルが“今までよりも”本腰を入れてPCゲーミングへ関わっていくという点は評価できる。ざっくりとその内容をレポートしてみたい。
なお、本イベントの様子はYouTubeで生配信された。配信の要素はこちらから。
最初に登壇したインテルの鈴木国正氏は近年世界を襲った厳しい情勢下にも関わらず、半導体市場は前年比26%以上の伸びをみせ、その背景にはリモートワークなどによりPCの需要増があったと述べた。
そして話はインテルの戦略に移るが、「ムーアの法則は確実に続く」という発言があった。鈴木氏によれば、ムーアの法則というとプロセス(のシュリンク)だけに目が行きがちだが、インテルはパッケージングも重要と考え、そこに投資をしているという。プロセスとパッケージングの両面を研鑽することで、今後も増加し続ける性能への要求に応えるというのだ。
鈴木氏に続き登壇したインテルのリッチー・コーパス氏はAccelerated Computing Systems and Graphics Group(AXG)のVice Presidentであり、Game Ecosystem Business Development & Developer RelationsのGeneral Managerという長い肩書きを持った方だが、今回はインテルとゲームデベロッパーの関係について語った。
インテルプラットフォーム上で最高の体験ができるようなゲームをデベロッパーに作ってもらうためには、最適化のためのチューニングから最新技術を使ってもらうための働きかけが重要であり、それを戦略的にやっている、ということを語った。
Intel Arcに搭載されるアップスケーラー「XeSS」は、この取り組みのキーとなる技術だ。NVIDIAの「DLSS」のようにAIを利用してアップスケーリングすることでGPU負荷を下げ、画質の損失を最小限にしつつ(リッチー氏はロスがない、と言っていたが、これは“認知できるような”という注釈が付くのだろう)フレームレートを稼ぐことができる。
最後に登場したのはインテルの第二技術本部 部長であり工学博士でもある安生健一朗氏。まずインテルの第12世代Coreプロセッサーの話から始まったが、前世代のパフォーマンスを上回った、的な話題が中心となった。
安生氏の話で興味深いのは、ユーザーはディスクリートGPUを持たない薄型ノートPCでゲームをしようと思わない、ということを認識している点だった。しかしインテルはそこを打破すべくCore i5+Iris Xe Graphicsにおいてゲームの動作認証を与えるプログラムを第11世代Core(Tiger Lake)時代から始め、現在では33のタイトルで認証が得られたと語った。
これはゲームの動作状況をゲームメーカーがチェックし、ある程度の快適なゲーム体験ができると判断した場合だけに与えられる認証となる。第11世代から始まって33タイトルなのでまだまだ先は長いという印象ではあるが、薄型ノートでもゲーミングの裾野を広げるべく奮闘していることは間違いない。
残念ながら安生氏の口からもデスクトップPC向けのIntel Arcの話題が出ることはなかったが、Intel Arcを搭載したIntel Evoプラットフォーム準拠のPCが今後続々と登場する、と語った。
最後にインテルとゲーミングコミュニティーを繋ぐための施策として、コミュニティーサイト「RUGs Supported by Intel」を6月10日に立ち上げたと発表した。インテルはかつて「Intel Club Extreme」というコミュニティーを立ち上げたが、だいぶ前にサイトは消滅している。このRUGsの動向がどうなるかにも注目したい。
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