ローコード開発ツールで業務フローに即したソフトウェア作りを支援
増えるローコード開発需要に応える「Power Pages」と「Express Design」を発表
今年の開発者向けイベント「Build 2022」は5ヵ国の独自セッションを用意した。本稿はBuild 2022 Spotlight for Japanの「進化が止まらないローコード開発最前線! 日本市場 最新情報アップデート」の概要を紹介する。
ますます増えるローコードによるアプリ開発
この数年、世界中で記述コードを最小限に抑える「ローコード」とパーツをGUIで組み合わせる「ノーコード」が注目を集めていた。なぜなら開発言語を使えない非IT部門や事務管理部門の従業員でも、業務フローに即したソフトウェアを開発できるからだ。
日本マイクロソフトのビジネスアプリケーション統括本部 ビジネスソリューション第一技術本部 テクニカルスペシャリスト 向井久美子氏は、「パートナーによれば2025年までの3年間で、業務アプリケーション(以下、アプリ)の7割はローコードで開発されると考えられている。その理由は従来の従来の開発方法では、アプリの需要に追いつかなくなるから。作成されるアプリの数も約5億と言われており、過去40年間のアプリ数を上回る」とローコード市場を解説した。
マイクロソフトはデータ駆動型の洞察を得る「Power BI」やビジネス用カスタムアプリの開発基盤である「Power Apps」、プロセスの自動化で業務効率化を目指す「Power Automate」、チャットボットを構築する「Power Virtual Agents」などを包括するブランド「Power Platform」を展開しているが、今回のBuild 2022では、新たにローコードのアプローチでビジネス用ウェブサイトを構築する「Power Pages」が加わった。
Power Platformの事例は枚挙に暇がなく、トヨタ自動車 デジタル変革推進室は日本マイクロソフトのPower Platformワークショップに参加し、2週間で遊休設備を社内で譲り合う「とまっち。」を開発した。「アプリ名には遊休設備を捨てる前にちょっと待って、という意味が込められている」(向井氏)。
ビジネス用ウェブサイトを構築する「Power Pages」と、デザインファイルや画像からアプリを作成する「Express Design」を発表
今回発表したPower Pagesは新ソリューションではなく、これまでPower Appsの一機能だったPower Apps Portalsをリニューアルし、「Power Apps、Power Automateと並ぶ一つのサービスに位置付けた」(向井氏)存在である。
すでに事例もある。オーストラリア政府が出資する補聴器調剤企業のHearing Australiaは、「難聴の子どもたちに聴覚を補助する医療機器を提供しているが、定期的な保守や修理は医療従事者が対応しなければならない。それまでメールやMicrosoft Excelで管理していたが、度重なるミスで補聴器の提供に遅延が発生していた。この問題を解決するために同社はPower Pagesで医療従事者用Webサイトを作成」(向井氏)。機器のシリアルナンバーを入力して、問題解決までの時間短縮や保守履歴の確認を可能にした。また、Power Pagesは多くのテンプレートを用意し、Webページ開発に不慣れな利用者でも、メニューやフォームといったウェブ部品を利用できる。
もう1つの新発表がデザインファイルや画像からアプリ作成を行なう「Express Design」だ。事務管理部門などが用意した手書きのイラストやPDF、コラボレーションでデザインを作成・検証する「Figma」の作成データを元に、Power Appsで使用できるパーツを作成。「デザイナーと開発者の間でシームレスな連携が行なえる」(向井氏)という。また、Power Appsアプリと同様に機関システムや外部サービスとの接続も可能。向井氏は「今回のアップデートで、多くの方が効率的にアプリ開発できるのでは」と利用をうながした。
(提供:日本マイクロソフト)
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