週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

USoundやxMEMSなど、水面下で進む何か

あと5年も経たずに、BA型がイヤホン向けドライバーの主役でなくなる? MEMSスピーカー強気の予想

2022年06月06日 13時00分更新

USoundのニュースリリース

おお、数字の根拠はあまりないが、とにかくすごい自信だ……

 本連載では、MEMSスピーカーがバランスド・アーマチュア型ドライバーやダイナミック型ドライバーに並ぶような発音体の選択肢になるのではないかと書いてきた。しかし、今のところイヤホンの分野で本格的に参入された製品はないように思える。その一方でオーストリアのUSoundは、自社のサイトで「携帯機器の分野で、2025年までにMEMSスピーカーがバランスド・アーマチュア型ドライバーを置き換える」という強気の読みを示している。USoundは、MEMSスピーカーの分野ではxMEMSと並ぶ代表的なメーカーだ。

MEMSスピーカーは、チップ一体型の発音デバイス

 MEMSスピーカーは「シリコンドライバー」とも言えるデバイスだ。半導体に近いプロセスを経て製造される。MEMSは機能集約型のチップだが、SoC(System on Chip)などとは異なり、ICなどのデジタル部だけではなく、電圧をかけると機械的に稼動する部分(アクチュエーター)を持ち、空気を振動させられる点が特徴だ。MEMSスピーカーは超小型で低消費電力、加えて製造公差が極めて小さく左右の位相特性を揃えやすい。また、超軽量で高域特性に優れるという利点がある。

 USoundによると「MEMSスピーカーの需要は2023年から上昇を始め、競合する市場では、翌年の2024年からバランスド・アーマチュア型ドライバーの需要が急激に低下する」という。完全ワイヤレスイヤホンについては、2025年までにその50%がMEMSドライバーに置き換わるという。なお、完全ワイヤレスイヤホンは今のところ大半の機種がダイナミック型ドライバーを搭載しているので、USoundは「従来型ドライバーの半分を置き換える」と言いたいのだと思う。

AR/VRグラスなど、新しい製品カテゴリーでの採用も有力

 また、急成長の背景は完全ワイヤレスイヤホンのみならず、AR/VRグラスなどのウェアラブル機器の需要の増加も見込んでいるようだ。小型で小さなスペースに仕込める、発音体の要求が高まっているからだ。従来のダイナミック型ドライバーやバランスド・アーマチュア型ドライバーはすでに小型化の限界に達しているので、その期待に応えられないというわけだ。MEMSスピーカーは、従来型ドライバーに比較して体積が半分になり、消費電力は80%削減可能だという。

 AR/VRグラスについては、アップルが製品化するという噂があるほどで、今後も注目度が増していく分野だろう。MEMSドライバーはすでに、オーディオグラスで採用されている。AR/VRグラスの需要も2023年以降増えていくと予測しているのだろう。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事