週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

自動車の未来を読み取れる「人とくるまのテクノロジー展」レポート

2022年05月29日 17時00分更新

自動車とその部品の展示会「人とくるまのテクノロジー展」。写真は欧州車向けのボルトを持つ、ミスFLASH2019グランプリに輝いたアメージングビーナスこと沙倉しずかさん

 2022年5月25~27日、パシフィコ横浜にて「人とくるまのテクノロジー展2022 YOKOHAMA」が開催されました。自動車、部品、材料メーカーや関連企業の技術を展示するこのイベント、ちょっと先の自動車の未来を見にお邪魔してきました。

 「人とくるまのテクノロジー展」は、1992年から開催されている技術者向けの専門展で、例年5月に開催されています。2014年からは7月頃に名古屋でも開催されるようになりました。ですが2020年と2021年は新型コロナウイルス感染症に伴い緊急事態宣言の影響で、オンライン展示会/講演会のみの開催となりました。

 3年ぶりとなるリアル開催。場内はスーツ姿の方の姿が目立ちました。そしてもう1つ目立ったのが「カーボンニュートラル」「CO2削減」「SDGs」といった言葉たち。そのほとんどは「電動化」に関する内容なのですが、部品メーカーは、その一歩先として脱炭素社会に向けて何が提案できるのか、製造時においてCO2削減に貢献できるのか、という部分に軸足を移しているように見えました。まずは各自動車メーカーの展示内容をご紹介しましょう。

説明はオンラインで
三菱自動車

三菱自動車の展示ブース

アウトランダーPHEV

 三菱自動車は「アウトランダー」に搭載した特徴技術であるPHEV(プラグインハイブリッドEV)システム、車両運動統合制御システム「S-AWC」(Super All Wheel Control)、新プラットフォーム、三菱自動車のPHEVで初めて3列7人乗車を可能としたパッケージングや先進安全装備を紹介していました。

技術員とはオンラインで対話できる

 コロナ対策なのか、解説員はその場にはおらず基本的にオンラインで技術説明をしていたのがユニークなところ。ちなみに、このような展示の仕方はほかの自動車メーカーでは行なわれておりませんでした。

発表したばかりの「SAKURA」を展示
日産

日産のブース

今月発表したばかりの軽自動車規格BEV「SAKURA」

 自動車業界では早くからBEV(バッテリーEV)に取り組んでいた日産。昨年発表したARIAと、今月発表したばかりの軽EV「SAKURA」の2車種を展示し、BEV時代を見据えた商品展開を訴求していました。

NOTE等に搭載する4WDのe-POWERシステム

 またシリーズハイブリッドであるe-POWERも訴求。前後にモーターを配置した4WDシステムを展示していました。

バイクのライディングアシストも!
Honda

Hondaのブース

独自のバッテリー交換システムを訴求

バイク用バッテリーシステム

 HondaはEVとFCの両面から電動化を訴求していました。ユニークなのは電池パック交換式のEV。「Honda Power Pod e:Ptorotype」は、家電用ハンディー蓄電池とBEVスクーターの電池パックを共有するというもの。バッテリーパックを複数個用意すれば、充電時間の短縮を図ることができますし、いざという時にも役立ちます。

ロボティクス技術を応用した2輪姿勢制御

 EV以外で目を惹いたのは、2輪姿勢制御のライディングアシスト。これはバイクそのものが自立させることで、立ちごけ等を防ぐというものです。CES2017で発表され話題を集めましたが、展示車はさらに進化したものになります。写真で見るとただのバイクですが、本当にスタンドを使わずに、しっかりと立っているから凄い!

運転支援技術がメイン
マツダ

マツダのブース

MAZDA CO-PILOT CONCEPT

車両のあちらこちらにカメラやセンサーが取り付けられていた

 マツダはEVではなく、運転支援に関する展示をしていました。MAZDA CO-PILOT CONCEPT技術試作車は、ドライバーの体調や操作を常にモニタリング。万が一の時に作動し、運転継続が難しい場合には自動的に減速・停車させ、必要に応じて緊急通報するというものです。

さまざまな電気自動車を展示
トヨタ

トヨタのブース

bZ4XのシャシーとEVまわりを展示

シャシー下にはバッテリーがぎっしりと

 常に満員御礼状態で人気を集めていたのがトヨタ自動車。というのも、近日発売予定のBEV、bZ4Xのシャシーを展示していたから。プラットフォームの床下部分にバッテリや駆動用モーターが敷き詰められていてフラットな床面になっているのを確認することができました。またSUBARUとの協業の取り組みや、バッテリーの長寿命化に向けた取り組みも紹介されていました。

MIRAIの水素タンク

 また、FCEV(燃料電池車)「ミライ」のシステムを紹介する展示もありました。BEVに対して、FCEVは水素を貯蔵するタンクや燃料電池ユニットが大きく鎮座するなど、同じブースでBEVと見比べることができるのは興味深かったです。

同社初のEVのカットモデルを展示
SUBARU

SUBARUブース

新型ソルテラのカットモデル

 SUBARUブースでは、同社初のBEVである新型「ソルテラ」のカットモデルを展示し、間近で見られるようになっていました。また前後独立モーター駆動式AWD制御技術についてもパネルと動画で展示。多くの人が足を止めて見学していました。

クルマとバイク以外に船のエンジンも
SUZUKI

SUZUKIブース

新型アルトを展示

 SUZUKIブースでは、2021年12月にフルモデルチェンジして、軽自動車としてトップレベルの27.7km/Lという低燃費を誇る「アルト」と、バイク「GSX-S1000GT」を展示。GSX-S1000GTは、欧州などでも販売されているスポーツモデルで、電子制御システムS.I.R.S.(スズキ・インテリジェント・ライド・システム)を採用し、エアロダイナミクスを追求することにより、快適に長距離ツーリングを楽しめるようようにしたバイクだとか。

DF140BG

 ほかにもDF140BGという船舶用エンジンの姿も。これはエンジンの冷却水をくみ上げた際、一緒に海洋マイクロプラスチックを回収できるのだとか。

新開発のハイブリッドシステム「e-SMART HYBRID」
ダイハツ

ダイハツブース

ロッキー・ハイブリッドのカットモデルを展示

 ダイハツは昨年発売したロッキー・ハイブリッドのカットモデルを展示していました。新開発のハイブリッドシステム「e-SMART HYBRID」は、1.2リッターエンジンとモーター、ジェネレーター、容量4.3Ahの走行用バッテリーで構成。エンジンは発電のみに使用するシリーズ式ハイブリッドです。燃費改善効果は35%以上というから驚きです。

タイ産のSUV「MU-X」をお披露目
ISUZU

ISUZUブース

MU-X

 いすゞ自動車は、タイで製造する海外向けのSUV「MU-X」を展示していました。MU-Xは2020年に2代目にチェンジしました。ですが、国内モーターショーではまだ展示したことがなかったため、今回展示したとのこと。ちなみにMU-Xは3列シートのSUVで、国内販売の予定はありません。ちょっと残念です。そのほか、国内向け技術としてはバス用のエアロゾルフィルターを展示。コロナ対策に役立つとしていました。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう