スタートアップと知財の距離を近づける取り組みを特許庁とコラボしているASCIIと、Tech企業をIP(知的財産)で支援するIPTech特許業務法人による本連載では、Techビジネスプレーヤーが知るべき知財のポイントをお届けします。
本稿では大学発ベンチャーにおける知財活動について取り上げる。近年、経済産業省における産学官連携施策の活性化やディープディック(※1)への注目が相まって、大学発ベンチャーの設立が盛んとなっている。大学発ベンチャーの概要および特徴を挙げたうえで、モデルケースとしてIPOをした企業について特許出願の分析を行なった。
※1「ディープテック」は明確な定義がなくバズワードのきらいがあるが、概ね「大学等の研究機関における長期間の研究成果に基づいた革新的な技術」という意味合いと考えられる。目次
大学発ベンチャーとは
大学発ベンチャーでの知財活動の留意事項
IPO大学発ベンチャーの特許出願の分析
自社で研究を行ない単独で特許出願を行なっているCYBERDYNE株式会社
大学との共同出願は行なっていない株式会社ACSL
大手企業と連携して研究開発を進めている株式会社PKSHA Technology
終わりに
大学発ベンチャーとは
経済産業省は、産学官連携施策の一環として毎年「大学発ベンチャー実施等調査」を行ない、大学発ベンチャーの企業情報を掲載したデータベースを公開しており、大学発ベンチャーとして以下の類型を定義している。
大学発ベンチャー(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/innovation_corp/start-ups/start-ups.html
ここで注意したいのは、「大学初ベンチャー」という概念は必ずしも大学での研究成果の技術に基づく事業を行なう企業(いわゆる「研究成果ベンチャー」)に限定されないことに留意する必要がある。また、技術移転ベンチャーの場合には、TLO(Technology Licensing Organization:技術移転機関)とのやりとりが前提となってくると考えられる。
以下に、経済産業省が各年度調査によって把握した大学発ベンチャー数の推移を示す。大学発ベンチャーの数は年々増加しているとともに、多くの大学でベンチャーを設立する動きが活発になっていることが見て取れる。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります