導入効果は時間短縮だけでなく、事故防止にも大きな効果が
原野氏の事故集計業務も情報を自動的に蓄積でき、欲しいテーマごとに一覧やグラフで確認できるようになった。業務時間を削減できたことで、その時間を今までできなかった分析に充てられるようになった。そのおかげで、今まで以上にエビデンスに基づいた対策を現場と共有できるようになったという。
導入効果はめざましかった。原野氏の集計やフィードバックに費やしていた30時間/月は10時間程度に収まり、約20時間の削減が達成できた。空いた時間を活用して分析力が向上したため、フィードバックする資料のクオリティも向上した。
以前は、現場で事故が起きると、上司に連絡して、本部の部長にも連絡して、保険対応案件だと総務の部長にも連絡するなど、複数の連絡が発生していたが、現在は1ルートになり効率化できた。
1年ほど前、社内で3つのプロジェクトが立ち上がった。その1つが事故防止を強化していこうという「安全管理プロジェクト」だ。kintoneに蓄積された1万2000件のデータを活用して、対策強化を実施した。スペースを活用して、グラフを貼り付けたりして効率的に情報を共有できるようにした。
約8ヵ月間の検証を行ったところ、服薬事故が前年対比4割削減、転倒転落事故については1割削減という効果が出た。素晴らしい導入効果だ。
「新型コロナで介護施設も苦しみました。その部分でも、ワクチン接種状況や施設内でどういう体調不良の方がいるのか、などの管理をするのに、とてもkintoneが役に立ってくれました」(原野氏)
kintoneを使いこなし、施設に浸透させ、みんなで活用できているように見えたが、原野氏はまだまだ使いこなせていないという。今回のようにkintone hiveに参加し、スキルを向上させていきたいとのこと。
「弊社には他のシステムも入っているので、そのシステムとkintoneの連携だったり、他の部署での活用促進、各施設ごとに独自の使い方ができるような、kintoneマスターの育成を進めていきたいと考えています。私たちにとって、kintoneとは“周辺業務”の効率化を促進し、“サービス”の充実度を向上させる、よきパートナーであり、ツールであると捉えています。これからもkintoneと共に歩んで行けたらと思っています」と原野氏は締めた。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう