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JAPAN INNOVATION DAY 2022セッション「仮想空間のビジネス活用――メタバース、デジタルツインの可能性とは?」

oVice、Symmetry Dimensions代表が語るメタバース

ビジネスとして「メタバース」を考える

 では、議論の内容に入っていこう。

 「メタバース」という言葉は広い概念だ。そして、その中で重要なのは、現実に存在するものをそのままメタバースの中で作らねばならない必然性はない、という点だ。一方で、メタバースを効率的に構築するには、現実にあるものやその概念を、デジタルツインとしてメタバースに持ち込むことも必要となってくる。

 それらの点は、ビジネス的にどう考えればいいのだろうか?

 oVice・ジョンCEOは「時間によって考え方が変わってきている」と話す。

ジョンCEO 最初は、(現実と)イコールでないといけないのではないか、と考えていました。元々oViceが『リアルのオフィスに行きたい』という願望から作られたサービスなので、リアルに寄せなければいけない、と思っていました。しかし、現実の映像をオンラインに持ち込むハイブリッド型の技術で(リアルとoVice内のオフィスを)1:1で重ねたら、とても気持ち悪かったんです。自分がリアルなのか、オフラインなのかがわからない。ズレを感じて違和感を覚えました。

 違うものにするのも難しい。例えば、オフィスの背景をリアルとは違い「海」にしてしまうと、これはこれでちょっと違う感じがします。

 最新の見解としては、「オンラインとオフラインの接点は持たせるくらいの方がしっくりくる」というものです。全部を変える必要はなく、例えば海の中に「ここはリアルオフィスと繋がっているよ」と明白にわかる空間を作ってあげるなどの工夫をすると、しっくりきました。

 クライアントからの要望としては「物理的オフィスをそのまま1:1で再現したい」というものが多いのですが、「物理的制約は一旦置いておきましょう。自由な発想をしつつ、オンラインとオフラインをつなげましょう」とお話しています。その方が、契約継続にもつながっています。

 沼倉CEOはビジネスの特性から次のように説明する。

沼倉CEO 弊社の場合エンタープライズ向けが中心なので、遊びの部分がないというか、現実にあるものを正確に精密に、というものが多いです。

 ただ、それはデータを使う場合においてデフォルメしないのであり、「見るもの」はどんどんデフォルメすべきだと思っています。

 弊社は元々VRで建築のデータや点群のデータを見ることを扱ってきたのですが、「VRで見るよりブラウザで見る方が楽だ」というお声もあって。会議もVRで隣の人の様子を見られるよりも簡単であるべきではないか、とか、それぞれのプレイヤーによってトライアルの方向性が違うと思っています。その上で、oViceのやり方はすごくわかりやすいと思いました。

 やろうとしていることは、シンメトリーもoViceも両社同じで、「現実とデジタルをイコールにしている」。現実の中でも仕事ができるし、デジタルの中でも仕事ができる。それを目指しているのだと思います。

ジョンCEO そこで、デジタル「ツイン」である必要はないと思うんです。トリプルでもいい。渋谷とバーチャル渋谷がある一方で、さらにあるポイントにはoViceのような空間が存在している……とか。

 今後は(リアルとデジタルの)「接点」がポイントになると思っていて、接点を通っていろんなメタバースを行き来できるようになるでしょう。

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