JAPAN INNOVATION DAY 2022セッション「仮想空間のビジネス活用――メタバース、デジタルツインの可能性とは?」
oVice、Symmetry Dimensions代表が語るメタバース
ASCII STARTUPが開催した、スタートアップを中心に先端テクノロジーをもつ事業者が集結するビジネス交流イベント「JAPAN INNOVATION DAY 2022 by ASCII STARTUP」。2022年3月18日には、オンラインセッション「仮想空間のビジネス活用――メタバース、デジタルツインの可能性とは?」というパネルディスカッションが実施された。
登壇者は、oVice株式会社・代表取締役CEOのジョン・セーヒョン氏と、Symmetry Dimensions Inc.(シンメトリーディメンションズ)Founder&CEOの沼倉正吾氏。モデレーターは、筆者・西田宗千佳が務めた。
お二人を招き、筆者がモデレーションしながら伺った対話を、流れに沿って抜粋しながらお伝えしたい。
「oVice」と「Symmetry Dimensions」とは
セッションはまず、お二人の事業紹介から始まった。
まずはoViceから。oViceは「オフィスのために作られたソリューション」とジョンCEOは説明する。
2020年3月、ジョンCEOが海外出張中、コロナ禍になってロックダウンになり、テレワークが始まった際のフラストレーションを解消する目的で開発がスタートした。まさに「オフィスをネットワーク空間の中に作る」ところからスタートしたサービスである。
表示は3Dでなく2D。オフィス空間の人と人との距離感や見通しの良さ、より一般的なPCでも利用できることなどを重視してのことだ。レンタルするoVice空間の「広さ」で料金が決まり、エンタープライズ向けにより大規模な空間の導入を促すことがビジネスモデルの1つとなっている。
オフィスの再現が主な用途だが、「オンライン講義やオンラインイベント、飲み会にも使われている」(ジョンCEO)という。導入の容易さを活かし、さまざまな事業を素早くオンライン化できるのがメリットだ。
3Dでないとメタバースではない、というイメージを持たれそうだが、「生活空間のネットへの拡張」という意味ではこれもまたメタバースだ。
それに対し、Symmetry Dimensionsのビジネスは方向性が全く異なる。同社が手がけるのは「デジタルツイン・プラットフォーム」の開発だ。
デジタルツインとは、現実の空間にあるデータをいったんデジタルのデータとして集め、「デジタル空間上の双子のデータ」として扱うものだ。そのデータを使って色々な検証を行い、現実世界の改善と、新しいデジタルサービスの構築を目指す。元々は建築業界で使われていた言葉だが、センサーの増加やスキャン技術の向上、5Gの普及などに合わせ、より広範な領域で使われる言葉となっている。
例えば、国土交通省が公開した地形・建築物などの情報を含むオープンデータである「PLATEAU」などを活用し、さらにその上に人流データや交通データを重ね、都市のデジタルツインを作り、各種シミュレーションなどを行うプラットフォームになっている。
その性質上、取引先の多くは行政や大規模なプロジェクト、地域デベロッパーなどが中心である。2021年11月には渋谷区の「デジタルツイン渋谷プロジェクト」への参加も発表している。
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