アストロスケールのデブリ除去技術実証衛星「ELSA-d」が高難度のミッション「模擬デブリへの誘導接近」実証に成功
2022年05月06日 20時00分更新
アストロスケールホールディングスは5月4日、同社のデブリ除去技術実証衛星「ELSA-d(End-of-Life Services by Astroscale – demonstration)」による模擬デブリ(クライアント)への誘導接近の実証に成功したと発表した。
捕獲機(サービサー)による遠距離からの物体の観測および追跡、非制御物体へ誘導接近、絶対航法から相対航法への切替えといった複雑で高難度な技術実証を含む実験で、RPO(ランデブ・近傍運用)そして軌道上サービスの実現に必要不可欠な技術という。また、この実証は民間としては前例のない低軌道上ミッションとなったという。
ELSA-dは、デブリ除去に係る一連のコア技術を実証する世界初の商業ミッション。軌道から安全にデブリを除去するための捕獲機構を備えたサービサーと、デブリ化した衛星を模したクライアントで構成。2021年3月にカザフスタンのバイコヌール基地より高度550kmの軌道へ両衛星を固定した状態で打ち上げて軌道投入。「試験捕獲」や「自律捕獲」の実証運用を行ない、8つのスラスタのうち4つが機能しないことから実験を延期していたが、4月7日には残存するスラスタを駆使してサービサーを誘導接近させ、クラ イアントから159mの距離にてクライアントを探索し検出。
4月7日の実証実験では、GPSと地上からの観測値を用いる絶対航法から衛星搭載センサーを用いる相対航法への測位手法の切り替えを行なっており、これは軌道上サービスの運用において実現することが最も難しい機能のひとつという。
同社では、自律捕獲の実証の完了には至っていないものの、ミッションにおいてデブリ除去のためのコア技術を実証することができたとしている。
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