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都市の課題解決を道路インフラの保守・点検から進めるアーバンエックステクノロジーズ

ドラレコから道路点検できるAIが国土インフラのデジタル化を推進:RoadManager

安心・安全なインフラ整備を支援する道路点検AI

 RoadManagerはその運用方法もシンプルだ。導入した自治体では、路面を撮影できるスマホまたはドラレコを積んだ車で管理している道路を回るのみとなる。

 撮影された画像からAIを用いて道路の損傷箇所を検出し、そのデータをクラウドに送信。これらは管理者が使用するダッシュボード上に表示され、舗装のひび割れなどが評価される。

 ドライブレコーダーを使った検出に関しては、より進んだ取り組みとして三井住友海上火災保険株式会社と共同で全国の自治体や道路修繕事業者に対してサービスの提供を行っている。三井住友海上は数十万件に及ぶドライブレコーダー付き自動車保険の販売を行っており、そのドライブレコーダーから得られた画像を用いて損傷個所の検出を行う。

 「2021年12月に販売を開始したソリューションですが、三井住友海上が配っているドラレコに我々のソフトウェアを実装することにより、行政が点検用にクルマを走らせなくても自動的に街中の点検マップを作ることができる。このサービスから得られたデータだけで市が管理している道路の90%が2週間で網羅できる事例もある。(市の職員は)誰も走らないけど点検マップが勝手に作られていくという世界観です」

 自治体にとって多くの人員・コスト・時間を要していた道路損傷個所の発見・補修作業を軽減してくれるサービスだけに、すぐにでも全国の自治体で導入が進むかと期待されるが、実際の導入までにはハードルがあった。一口に地方自治体といっても、道路の管理状況はかなり異なっている。

 「市区町村だと少ない職員、少ない予算で非常に長い道路を管理していて、結果として、損傷から補修までに時間がかかってしまう場合がある。一方で予算がある規模が大きな都道府県などでは、損傷検出だけでなく将来の災害に備えて必要な箇所を参照できるよう、データとして記録するケースもある」

株式会社アーバンエックステクノロジーズ 代表取締役 前田 紘弥氏

 「技術的な話より、オペレーションの流れをどうやって作っていくかというところが重要。ダッシュボードでデータが見れるようになったとして、そこからどうやって日々の業務に落とし込んでいくのか、そういう話を自治体の職員と一緒になって作っている。コンサルまではいかないが、こうやって使えばいいのではないかという仮説まで立てて一緒に考えてきたという点は我々の強みになっている」

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