単なる名刺の管理から転職時に使える機能を搭載した「Eight」
Sansanの名刺アプリ「Eight」がキャリアプロフィールアプリに進化した。新たに「キャリア」タブを追加し、転職に役立つ情報を手軽に収集できるようになった。アプリのコンセプトだけでなく、タグラインも「名刺管理に、転職に」と変更された。
Eightは個人ユーザーを対象に2012年に提供を開始。今年で10周年を迎え、現在は300万人を越えるユーザーに利用されている。当初は名刺管理のためのアプリだったが、直近ではビジネスのためのSNSとしてビジネスパーソンの出会いやつながりをサポートしている。
「この2年ほどはコロナ禍おける急激な環境の変化により、ビジネスパーソンの働き方は大きく変わりました。オンラインシフトする中で、課題となっていた出会いやつながりを後押しするために、Eightは機能アップデートを続けてきました。また、環境の変化はビジネスパーソンが自らの働き方やキャリアを見直す機会にもなっています」とSansan株式会社Eight事業部 事業部長の塩見賢治氏。
なお、コロナ禍で対面する機会が減ったので、交換する名刺の数も減ってしまった。Eightのアクティブユーザーもコロナ禍になって減ったそうだが、現在はコロナ化以前の水準に戻っているという。
終身雇用という考え方が薄らぎ、昨今のビジネスパーソンは自らがキャリア開発するキャリア自立が注目を集めている。しかし、経団連の調査(Society 5.0時代を切り拓く人材の育成)によると社員が自律的にキャリアを形成していると回答した企業は2割ほどにとどまっている。長期化する職業人生を豊かにするため、継続的に学び、社内外で通用する人材へと自身の価値を高めていくことが重要になっているのだ。
ビジネスパーソンが抱える課題が変わっていくのに合わせ、「Eight」もキャリアにフォーカスすることにした。名刺を管理する機能を捨てるわけではなく、今後ビジネスパーソンが転職する際に「Eight」を使ってもらえるように機能を磨き上げていくという。
「キャリア」タブから様々なキャリア形成に役立つ情報を取得
新搭載された「キャリア」タブでは、自分磨きに役立つ「スキルレポート」や知らなかった企業の情報「企業レポート」、「求人情報」、「オンラインイベント」などの情報を収集できる。
「今後ユーザーには自分のプロフィールに向き合ってもらう機会を増やしたいと考え、今回のアップデートではこれまで画面上部にあったプロフィールページのタブを下部に設置しました」とSansan株式会社 執行役員 Eight事業部 Eightキャリア&ソリューション部 部長 小川泰正氏
情報は職種ごとに表示され、ユーザーがキャリア形成するにあたり必要な情報を効率的に探すことができる。リリース時には営業職のタブが出てくるが、これは単純に営業職が名刺交換をする機会が多いからだという。今後、随時職種を追加する予定だ。
スキルレポートはキャリアアップに役立つ情報を好きな時に好きな場所で無料で学べる。例えば、顧客の課題を自然と引き出す質問方法など、営業に必要なスキルを学べるコンテンツを掲載している。
企業レポートはEightが様々な企業にインタビューし、「会社を知る」「事業を知る」をテーマにしたレポートと動画を紹介するコンテンツだ。内容を簡潔に紹介するレポート記事を掲載するほか、動画では全編を視聴できる。気になる企業の動画を視聴すると、その企業をフォローできるので、Eight内で関連するニュースや近況情報などの情報を収集できるようになる。
求人情報では「Eight Career Design」の求人情報がユーザーの属性に合わせて表示される。イベントやレポートで興味を持った企業に対し、直接応募できるのが特徴だ。
オンラインイベントはリアルタイムで参加可能なスキルアップやキャリアアップに役立つ企画を開催する予定。イベントには面倒なフォームに個人情報を入力することなく、オンライン名刺を主催者と交換するだけで参加できるのは手間がかからずありがたい。企業との接点を増やすことで、企業への関心や共感を起点に、ユーザーはキャリア転換の機会を得られるようになる。
従来と同様、ユーザー自身の名刺を登録することでプロフィールを自動生成したり、交換した名刺を簡単に登録し、検索できるようにする機能などを利用できる。一部の機能は有料のEightプレミアムの登録が必要になるが、今回追加された「キャリア」タブの機能は基本的にEightユーザーなら無料で利用できる。
「ビジネスパーソンがEightを使えば、キャリアアップやキャリアチェンジができたり、企業がEightを使えば優秀な人材と出会い、事業を成長させることができます。その結果、社会や経済がより良い方向に向かっていけば嬉しいです」(小川氏)
Eightの輪の中にさらに多くのビジネスパーソンが入ってこられるようにするため、名刺がなくても新規登録ができる機能を開発中だという。また、企業のファン作りを支援する機能も開発中。どちらも、この夏に実現する予定だ。
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