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第12世代Coreで安価に組めるゲーミング構成を考える

20万円未満でELDEN RINGは快適に遊べる!? TUF GAMINGのH670マザーでコスパ構成を組む

2022年04月22日 11時00分更新

 2021年の11月、第12世代インテルCoreプロセッサー(以下、第12世代Core)が登場した。それまでライバルにCPU市場のシェアを奪われていたインテルだったが、2種類のコアを用いて高負荷時のパフォーマンスと低負荷時の省電力性を両立する新設計の第12世代Coreは大きな話題となり、CPU市場でのシェアを奪還するに至った。

 当初、第12世代CoreはCore i9~Core i5の上位モデル、すなわち型番末尾に“K”が付くオーバークロック対応CPUと、それに対応するZ690チップセット搭載マザーボードのみが発売した。その後、2022年の1月にはCore i3を含む下位CPUが発売。第12世代Core対応マザーボードも、より安価なH670/B660/H610チップセット搭載モデルが登場した。これによって、第12世代CoreのCPU/対応マザーボードともに最初より安価に入手できるようになり、最新世代のPCが以前より組みやすくなった。

 昨今、日本ではPCでゲームをプレイするユーザーが増えており、第12世代Coreを搭載するゲーミングPCが欲しいという人も少なくないだろう。発売当初は高価で手が出しづらかったという人も、安価なCPUやマザーボードの選択肢が広がった今は、PCを新調する好機と言える。しかし、PCゲームをプレイするには、ウェブブラウジングやオフィスアプリの使用などと比べてより高いスペックが必要になる。ある程度ゲームを快適にプレイできつつ、なるべくコストを抑えてPCを組むにはどういったパーツを採用すればいいのだろうか。

 そんなニーズにピッタリなのが、今回紹介するASUSのH670チップセット搭載マザーボード「TUF GAMING H670-PRO WIFI D4」だ。本稿ではその特徴を紹介しつつ、このマザーボードを中心にコストを抑えた構成でPCを組んでそのゲームパフォーマンスを計っていきたい。

過剰な機能や装飾は省きつつ、使い心地にこだわった
TUF GAMING H670-PRO WIFI D4

TUF GAMING H670-PRO WIFI D4。フォームファクターはATXに対応

 TUF GAMING H670-PRO WIFI D4は、H670チップセットを搭載する、「TUF GAMING」ブランドのマザーボード。TUF GAMINGはASUSのゲーミング向けブランドであり、耐久性に優れた設計と高いコストパフォーマンスからPC自作界隈でも人気が高い。

 TUF GAMING H670-PRO WIFI D4もそうしたブランドコンセプトを受け継ぐ製品といえる。ゲーミング向けの製品では、LEDを搭載し華やかなRGBライティングの演出ができる製品も多い。一方のTUF GAMING H670-PRO WIFI D4は、LEDを最小限にとどめたデザインになっている。

チップセットはハイエンドの1つ下、H670を搭載

 H670チップセットは、第12世代Coreに対応するインテル 600シリーズのチップセットで、最上位のZ690に次ぐグレードに当たる。Z690との主な違いは、CPUオーバークロックへの非対応とチップセット制御のPCI Express 3.0レーン数、そしてUSBポート数だ。

 ただ、K付きの上位CPUを使ってCPUのオーバークロックをしたり、PCI Expressスロットにビデオカード以外にも複数の拡張パーツを取り付けたりといったことをしない限りは、あまり大きな差ではない。USBについても、一般的な使い方なら十分な数だろう。

 ゲーミンググレードのZ690搭載マザーボードは、3万5000~5万円程度はするものがほとんどだが、TUF GAMING H670-PRO WIFI D4は実売価格が2万8000円前後。自身の用途に合わせて、過剰な機能を省いたチップセットを選択したほうが、実際の使用感としてコスパは高く感じるはずだ。

ソケットは第12世代Core向けのLGA1700。フェーズ数はこのクラスでは多めの14+1

 VRM電源回路は14+1フェーズで、CPU電源端子は8+4ピン。もともとオーバークロック向けのチップセットではないので定格運用を前提と考えれば、比較的豪華な設計と言えるだろう。PWMコントローラーには同社の「Digi+VRM」を採用する。そのほか、軍用グレードを謳うチョークや、標準的な製品に比べて最大52%の温度耐性と2.5倍の寿命を持つというコンデンサーなど、TUF GAMING独自の安定性に優れるコンポーネントを使用している。

 また、自作ユーザーに配慮したASUSならではの設計も魅力だ。特に使いやすく感じたのが、M.2スロットに搭載されている「M.2 Q-Latch」。ネジを使わずにM.2 SSDを固定できるため、ドライバーを用意しなくていいのはもちろん、小さなネジを無くす心配がないというのもストレスフリーで嬉しい。

ドライバーを使わず、回すだけでM.2 SSDを固定できる「M.2 Q-Latch」

 M.2スロットは4基用意されており、そのすべてにM.2 Q-Latchを採用している。なお、4基あるうちの3基は標準でヒートシンクを搭載。すべてPCI Express 4.0接続に対応し、中段のヒートシンクなしの1基はSATA modeにも対応している。そのほかのストレージ面では、SATA 3.0ポートが4基備わっている。

4基のM.2スロット(赤枠で囲った部分)を搭載する。M.2 SSDの主流サイズであるType 2280の固定部分はすべてM.2 Q-Latch仕様。一部はType 22110の固定部分もM.2 Q-Latch仕様になっている

M.2スロットのヒートシンクは中段のスロットを除く3基をカバーできる。SSDとの接地面には熱伝導シートを備える

SATA 3.0ポートは2つずつ異なる向きに4基搭載

 ひとつ気を付けるべき点としては、メモリースロットがDDR4対応になっている点だ。第12世代Coreでは新世代のDDR5メモリーに対応したが、DDR5とDDR4ではメモリースロットの互換性がない。最初にDDR4メモリーを使用しておいて、後で同じマザーボードを使用してDDR5メモリーに取り替えようということはできない。マザーボードを購入する前に、どちらに対応するのかは調べておく必要がある。

 ただ、DDR5に対応するマザーボードはDDR4対応のマザーボードよりも高価格帯に位置する。加えて、昨今の市場を見るとDDR5メモリーはまだそれほど多く流通しておらず、価格も高い。そのため、コスパ重視のマザーボードにおいてはDDR4メモリーをサポートしているモデルも多い。本製品もそうしたモデルというわけだ。

メモリースロットはDDR4に対応

 現状、DDR5メモリーはクリエイティブ用途などでは力を発揮する部分もあるものの、ゲームや普段使いでその恩恵を活かしきれる場面はそれほど多くはない。コスパを考えるなら、DDR5メモリーにこだわるよりもDDR4メモリーを選ぶというのは賢い選択肢と言える。

 そのほか、ネットワーク面についてはWiFi 6に標準対応。有線LANは2.5GbEを搭載する。従来の1GbEとハイエンドの10GbEとの間に位置する2.5GbEは昨今採用例が増えている。高速回線でなければ活かしきれない10GbEは少々オーバースペックなものの、将来性を考えると新しく組むPCで1GbEというのももったいない……そんなニーズに応える“ちょうどいい”ラインが、この2.5GbEと言えるだろう。

バックパネルの様子。有線LANには2.5GbEを搭載する。USBポートはUSB Type-C 3.2 Gen 2x2、USB Type-A 3.2 Gen 2×2、USB Type-A 3.2 Gen 1×4 という構成。ポート数自体は多くはないが、高速なポートを必要最低限は搭載している

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