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JAPAN INNOVATION DAY 2022「デジタル庁が推進するオープンイノベーションによる次世代の契約・決済への挑戦」セッションレポート

経済活性化のキーに 企業間取引のデジタル最適とデータ利活用が新たな価値の創出を産む

2022年05月16日 07時00分更新

起爆剤としてのスタートアップへの期待

残間 今回のプロジェクトで特にスタートアップに期待したいことというのはどういうところか。

大久保 金融機関とか中央省庁が実装しているような仕組みの開発は凄くペースが遅いが、そこにスピードを求めるのは間違っていると思う。例えば決済の領域だと、金融機関がAPIを提供して外部の企業がセキュアに決済の機能を利用できる仕組みがある。それを使って電子決済等代行事業者が決済を代行していくといったところで、すでに多くのスタートアップの方々が活躍している。そこに契約から請求のところを上手くつないでいくことで、データを連携するバーチャルなプラットフォームが出来上がると思っている。そこはERPのパッケージベンダーがノウハウを生かして取り組むのも良いと思う。

残間 政府が旗を振ってアーキテクチャを作り、そして大企業も中小企業もスタートアップも新たなソリューションでそこに被せていくと、スパイラルアップしていくということか。

大久保 はい。どうしても新規ビジネス開発のところはこれまで事例が無かったりということがある。我々のプロジェクトでは経済産業省による委託事業にて海外調査で得た事例を公表しているので、新規ビジネスの開発に利活用していただきたい。先ほど申し上げたカーボンフットプリント領域などもまさにそうだと思っている。

残間 世の中の仕組みを変える起爆剤となるのはスタートアップだし、新しいビジネスチャンスを狙って実証実験にエントリーすることもあると思う。そういった方へのメッセージはありますか。

大久保 例えばデジタル庁が出している重点計画や政府の成長戦略などは、必ず施策として各関係する府省で計画的に進められていくものなので、制度的な変革を知りたければ、まず重点計画や成長戦略の中身を見ると良い。そこに書かれている線表に合わせて各会社の事業計画を書いていくというのが一番大事だと思う。このあたりは経済産業省のレポートが良いと思うが、彼らが出しているレポートや線表を逆引きして、このステージまでにこういうソリューションを展開しますというプランを作ると制度的には失敗がない。

 あと、業界的に一番最初にチャレンジするところにはグレーゾーンがある。そういったところは大企業に比べてスタートアップの方が圧倒的に強い。省庁横断型のregulatory sandbox(規制のサンドボックス制度)が3年前に制定されたので、その仕組みを利用すると各府省とか自治体でハードルになっているようなところを一歩進む可能性がある。

 政策の線表の利用とグレーゾーンの解消を(スタートアップには)勧めたい。

残間 非常に具体的かつ有用なメッセージをありがとうございます。スタートアップの方々にとって間違いない戦略を立てる助けになると思います。本日は「デジタル庁が推進するオープンイノベーションによる次世代の契約・決済への挑戦」として非常に新しい動きが始まっているということに気づいてもらえたのではないでしょうか。3月22日に開催される第3回 契約・決済アーキテクチャ検討会にも注目して欲しい。

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