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JAPAN INNOVATION DAY 2022「デジタル庁が推進するオープンイノベーションによる次世代の契約・決済への挑戦」セッションレポート

経済活性化のキーに 企業間取引のデジタル最適とデータ利活用が新たな価値の創出を産む

2022年05月16日 07時00分更新

次世代取引基盤の将来像

 契約・決済アーキテクチャ検討会のゴールは「データ化され、リアルタイムで把握可能な電子商取引契約及び電子決済が取引金額の大半を占める」ようになるよう、異なる複数の関連する情報処理システムの連携の仕組み(アーキテクチャ)を描くことにある。現在の取引関係では、受発注の企業や金融機関をはじめとする様々なステークホルダーがいるが、中にはまだ紙ベースでの受発注をやっているところや、決済の連携が一気通貫にできていないところなど、様々なステージにいる。

「このプロジェクトを進めていくと、商流と金流のデータが結合できるようになる。請求するときに新たなデータを付随したり、決済するときに付随情報を利活用するができるようになる。マーケティングで使ったり、課題になってきているカーボンフットプリントのような新規ビジネスに資するデータもスコープである。」(大久保氏)

 従来は取引を適切に履行することが業務目的であったため、人手によるアナログ作業を前提に、紙やPDFなどシステム処理できない形で取引データを持っていた。契約・決済アーキテクチャ検討会では、デジタル環境で取引を完結させることにより効率的な取引を実現したり、社会課題対応や経営判断に資するよう取引データの利活用における価値を最大化する仕組みを検討する。

 今後の予定としては、まず5月ごろにグリーンペーパーと技術仕様レポートが公開されることになっている。毎年6月ごろに打ち出される国家戦略に向けての議論が始まるので、このプロジェクトもその中に組み込んでいく予定にしている。具体的な内容についてはデジタル庁が出している重点計画の中で進捗をアップデートしていくことになっている。

 それに加えて、検討会によるアーキテクチャの実装可能性について実証を行うために、2022年度にNEDOと連携して実証実験を予定している。

「新しいビジネスに関わるところで実績がなく、単独で進めるのは非常に難しいと考えている。NEDOの実証事業を通じて、プロジェクトが少しでも普及するようなフックとなることを狙っている。是非皆さんからエントリーしていただいて、一緒に実務で案件を進めていきたい。」(大久保氏)

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