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「急接近するデジタルヘルスの時代、先進企業が語る課題と現在」レポート

デジタルヘルス先行企業5社が語るDTx発展・業界活性化に求められることとは?

2022年05月20日 07時00分更新

 次に八木氏は、ビジネスモデルの観点にフォーカス。マネタイズも含めた現在の考えを聞いた。

 エーテンラボの長坂氏は、現在対応している2つの方法を紹介した。1つは、「みんチャレ」に実装しているサブスクリプション型の「ユーザー課金」。もう1つは「BtoB向けの課金」で、独自機能の追加などにも対応する「みんチャレ」を健康保険組合や自治体などに提供し、アウトカムにコミットする形で「どれだけの対象者が行動変容できたか。その割合に応じた成果報酬をいただくモデルとなる」と紹介した。

 リモハブの谷口氏は、自社の遠隔心臓リハビリシステムは「治験を通して薬事承認、そしてその先に保険適応を目指している」と説明。さらに、その保険戦略を検討するなかでは「医療費を下げるためのロジックやエビデンスの提示なども大事になる」と補足した。

 この薬事承認についてCureAppの宮田氏は、実際の治療効果と診療報酬の関係性が「現状では不透明な部分が多い」と指摘。さらに、スピーディにさまざまな制度を整備している点は評価する一方で、米国やドイツと比較して「DTxの領域は遅れを取っている」と感じており、DTxを世界で戦える産業に育てていく意味でも、官民が連携して「不透明な部分をよりクリアにする制度設計に取り組むべき」と提案した。

 最後に八木氏は「業界の活性化」に着目。直前に挙がった制度設計の必要性なども含めつつ、求められる取り組みなどを聞いた。

 Save Medicalの淺野氏は、業界としてDTxに取り組む人口の増加が何よりも望まれるなかで「モノづくりに長けた他業界の人材の参入」を期待。エーテンラボの長坂氏も、プレーヤーの増加が重要と考えており「志のあるエンジニアやデザイナー、ビジネスパーソンに来て欲しい」と呼び掛けた。

 サスメドの市川氏は、薬事承認の取得を実現したCureAppに続く「成功事例を作る」ことの重要性を指摘。この点にはリモハブの谷口氏も賛同し、DTxは新しい領域でそれぞれのプレーヤーがまだ独自のやり方で取り組んでいることから、成功する道筋がさまざまな形で共有されれば「業界の活性化につながるはず」とした。

 CureAppの宮田氏は、同じ業界の競合相手であっても「共通の利害があるのであれば、連携するような取り組みも進めたい」と言及。八木氏もそのようなスタンスが業界の発展には重要と考えており、「先行する皆さんがさまざまなコラボを実現し、世界を動かしてほしい」と締めくくった。

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