愛知県岡崎市ではスマートコミュニティ推進協議会を設け、データ駆動型の都市再生を目指している。徒歩移動者の増加によって活性化をめざす「まちなかウォーカブル」と名付けた取り組みを進めており、その一環として国交省の実証実験に参加した。協議会第10回総会の中で、事業の成果が発表された。
大河ドラマ館開設後の集客増を過去の携帯ビッグデータから予測
岡崎市は、令和5年1月から放映予定の大河ドラマ「どうする家康」の舞台となる。これを観光客誘致の好機と捉え、大河ドラマ放送期間に合わせて、岡崎公園内に大河ドラマ館を開設することが決定している。
前提として予想されるのは、大河ドラマ館によって、過去経験したことのないタイプの集客があるということだ。岡崎公園ではこれまでも花火大会などのイベントが開催され、多数の集客経験はある。しかしその期間は短く、来場者も周辺住民が多い。今回は長期にわたり、広域からの来場者が集中すると予想できる。
そこで国交省の実証実験に参加し、携帯データ等を利用することで、集客効果の最大化と、渋滞などの負の影響の最小化の両立を目指すこととした。取り組んだのは、集客規模の推計と今後の施策立案を行う際に、過去の同様の事例のデータの分析結果を活かすという試みだ。
これまで集客推計は、いわば経験と勘のみに基づくものだった。そこから脱却し、根拠となるデータをもとにした推計を行うことを目指した。
根拠となるデータとして選んだのは、過去に大河ドラマ館を設置した実績がある岐阜市と浜松市の携帯電話のビッグデータだ。通常時からの集客の増加規模や、集客エリアの範囲を、データとして得られた。
加えて、各市の担当者にインタビューを実施。実際に行った施策、たとえば駐車場対策や誘導対策などについて体感的な効果を聞いたり、そのほか考えられる因果関係などを聞き、データの数値と合わせて分析することで、さらなる価値を持たせることができるというわけだ。
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