「IPナレッジカンファレンス for Startup 2022」レポート
知財×ビジネス戦略で企業価値を高める先進スタートアップが受賞。第3回IP BASE AWARD授賞式
特許庁は2022年3月18日、ASCIIのビジネス交流イベント「JAPAN INNOVATION DAY 2022」において、「IPナレッジカンファレンス for Startup 2022」をオンラインにて開催した。セッション前半は、知財活動のロールモデルとなる個人や組織を表彰する「第3回IP BASE AWARD」の授賞式と受賞者によるピッチ、後半は、受賞者と審査の選考メンバーによるパネルディスカッションが実施された。
特許庁のスタートアップ向け知財コミュニテイポータルサイトIP BASEは、スタートアップにおける知財コミュニティの活動を促進させるべく、知財活動について先進的な取り組みをしている個人や組織を表彰する「IP BASE AWARD」を2019年から開催している。2021年度に募集した「第3回IP BASE AWARD」には71件の応募があり、スタートアップ部門、知財専門家部門、エコシステム部門について、それぞれグランプリと奨励賞が選ばれた。
開会の挨拶には、特許庁長官の森 清氏が登壇。
最近のエピソードとして、3月15日に経団連が発表した「スタートアップ躍進ビジョン」の38の提言の中でも知財の重要性と特許庁ベンチャー支援班の取り組みについて言及されていることを紹介し、「施策の方向性は一定の評価を得ているが、まだまだ課題は多い。2022年度は、VCへの知財専門家の派遣、海外出願費用の支援など、スタートアップ支援策の拡充を進めていきます。こうした場でみなさんと意見交換する中で、よりよい知財制度、知財を活用できるシステムを作っていきたい」と語った。
株式会社Splink、森田裕弁理士、グローバル・ブレイン株式会社がグランプリを受賞
IP BASE AWARDは、スタートアップにおける知財コミュニティの活動を促進すべく、スタートアップ部門、知財専門家部門、エコシステム部門の各部門で、知財全般に関して先進性・注目度などの観点からめざましい取組をした個人・組織を表彰するもの。以下、スタートアップや個人など、各部門の受賞者が選ばれた。
■知財支援によって投資先の企業価値向上を目指す独立系VCがエコシステム部門グランプリに
エコシステム部門のグランプリは、独立系VCのグローバル・ブレイン株式会社が受賞。受賞ピッチにはグローバル・ブレイン株式会社 Investment Group Director 廣田 翔平氏が登壇し、同社の知財支援活動を紹介した。
グローバル・ブレインでは、スタートアップと知財専門家をつなぐ支援活動を推進している。知財知識に乏しいスタートアップは、専門家へ何を依頼すればいいのかわからず、専門家からのアウトプットの評価も難しい。そのため同社では、事前にスタートアップの知財戦略を検討して専門家への依頼内容を整理し、専門家からのアウトプットの評価をサポートする。また、知財専門家に対しては各専門分野に適したスタートアップの紹介、事業背景の情報を提供することで、円滑に知財活動が進められるように支援している。
今後の活動目標として、グローバル・ブレインとして、知財支援によって投資先の企業価値を向上させ、VCとしての収益の向上を図り、新たな投資の機会の創出するというサイクルを回していく。また、知財活用による成功事例を創出することで、スタートアップ業界全体の知財活動の質が向上し、たくさんの成功事例が生まれるように、スタートアップの知財エコシステムに貢献していきたい、と廣田 翔平氏は語った。
エコシステム部門の奨励賞には、NTTコミュニケーションズ株式会社 イノベーションセンターと、オンライン商標登録サービス「コトボックス」を運営するcotobox株式会社の2社が受賞した。
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