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2022年2月18日開催「みちのくDEMO DAY」イベントレポート

東北地域大学発ベンチャー共創プラットフォーム 代表チームが次代を担うイノベーションの種を披露

2022年03月18日 11時00分更新

文● 藤原達矢(アバンギャルド)編集● ASCII STARTUP
提供: 東北地域大学発ベンチャー共創プラットフォーム

長岡技術科学大学「DHS-USB窒素除去システムによる新規飼育水質及び飼育魚管理システム」

 長岡技術科学大学のNur Adlin Binti Abu Bakar氏がピッチする採択テーマは「DHS-USB窒素除去システムによる新規飼育水質及び飼育魚管理システム」。2050年には、世界の人口が約93億人になると予想されており、人口が増えればより多くの食料が必要になる。食糧を供給するために、1985年以降は養殖業の生産量が急激に伸びてきた。今後も増加が見込まれており、2030年には2018年の15%増にあたる2億400万トンに達すると言われている。水産物の需要は世界中で増加しているため、安定供給を維持するには養殖業の生産量を増やす必要があるとNur Adlin Binti Abu Bakar氏は話す。

世界人口の増加に伴い、今後も水産物の需要は増え続けるという


 養殖には、海面養殖と陸上養殖の2種類がある。海面養殖は、自然災害や温暖化などの影響を受けやすいため、環境を保つのが困難で安定的な生産に課題がある。一方で、陸上養殖は、飼育環境を保つことができるが定期的に大量の水交換が必要で困難を極めるという。飼育水質維持のためには、水槽容積に対して10〜20%の水を定期的に交換しなければならない。しかし、2025年までには世界人口のおよそ3分の2が水不足に直面する地域に住むことになると予想されているため、節水との両立も考える必要がある。


陸上養殖で安定的な生産を実現するためには、持続可能な完全循環型養殖システムが必要になる

 そこで開発したのが、微生物の力を借りて水をきれいにすることで、交換の必要がなくなる装置「ECOQUA」だ。硝化反応を担う好気性生物処理プロセスと脱窒反応を担う無酸素性生物処理プロセスを同時に行うシステムにより、窒素成分を除去し安全な水環境を保てるという。魚にとっても水交換がないことでストレスが減り、成長が早まると期待されている。さらに、リモートで水槽を監視できるため時間の削減や労働力不足の解消にもつながるという。


水交換が必要なくメンテナンスの負担が少ない次世代完全循環型養殖システムを開発した 

 将来は、国内だけでなく水資源が少ないモンゴルやアフリカなど海外への展開も目指すという。世界のバイオフィルターマーケットは、2018年の2070億円から2027年は約3500億円に増加すると予想されている。同チームは10年後にマーケットシェアの10%を目指すという。水交換が必要ないことからどこでも利用可能なシステムで、将来は美味しいお寿司を砂漠でも食べられるようにしたいと話して、Nur Adlin Binti Abu Bakar氏はピッチを締め括った。


10年後は、2000億を超えるバイオフィルターマーケットシェアの10%獲得を目指す

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