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2022年2月18日開催「みちのくDEMO DAY」イベントレポート

東北地域大学発ベンチャー共創プラットフォーム 代表チームが次代を担うイノベーションの種を披露

2022年03月18日 11時00分更新

文● 藤原達矢(アバンギャルド)編集● ASCII STARTUP
提供: 東北地域大学発ベンチャー共創プラットフォーム

宮城大学「幸せを呼ぶクローバーウニの事業開発」

 次に登壇した宮城大学 食産業学群 教授の西川正純氏が率いるチームのテーマは「幸せを呼ぶクローバーウニの事業開発」。このウニをはじめ、マグロやカニといった日本の魚介類を中心とする漁食文化は和食として世界に広く認められている。また、国内においても外食産業、特に寿司業界では高級水産物の需要が増えてきたという。その中で、マグロやカニについては、冷凍保存が効くことから一年を通して安定供給されているが、ウニは冷凍に不向きなため、生鮮品が主流となっている。

冷凍保存が可能なマグロやカニに比べて、ウニは年間を通じての安定供給が難しい


 また海の沿岸部では、「磯焼け」と呼ばれるウニの食害により海藻等が枯渇する状態が進行しており、環境を改善するためには磯焼けウニの捕獲駆除が必要になると西川氏は指摘する。しかし、磯焼けウニは身入りが悪くて食品価値がないため、漁業者の捕獲意欲は低下しているという。


海藻の枯渇が発生する磯焼けウニの食害も課題となっている 

 

 これらの課題を解決するために、磯焼けウニの蓄養技術を研究したところ、マメ科植物のクローバーを給餌することで品質が向上することを発見したという。さらに、植物に特異的な機能性成分であるαリノレン酸の付与にも成功した。さらに、ウニの輸送についても特許化を進めている特殊な容器を用いて品質良く流通するための技術を開発している。この技術によって、日本や海外の需要に的確に応えることができるため、将来的にはASC認証等を取得してブランド化を進めることも検討したいと西川氏は話した。


クローバーを給仕することで、コンブを与えたウニと遜色ない身入りや色、食味を実現した



水槽を掃除する水中ドローンやウニの殻を剥くロボットなどデジタル機器の活用も進めている


 
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