2022年2月18日開催「みちのくDEMO DAY」イベントレポート
東北地域大学発ベンチャー共創プラットフォーム 代表チームが次代を担うイノベーションの種を披露
福島大学「三次元再構築技術を核とした果樹樹形情報のアーカイブの開発」
続いて、福島大学 准教授の髙田大輔氏が登壇した。テーマは「三次元再構築技術を核とした果樹樹形情報のアーカイブの開発」だ。このプロジェクトで髙田氏は、果樹農業の発展に向けて栽培技術向上と高単価生産をデータ上の栽培管理法で実現していきたいと話す。
果樹産業は、他の農作物に比べて単価設計が高い上に、輸出も好調で良好な市場だという。そのため、技術やノウハウを得て新たに参入したいと考える企業や個人も多いが、二つの大きな課題があると髙田氏は言う。一つは、技能向上。剪定をはじめとした固有の技術や空間認識が他の作物より難しく、指導書なども理解がしづらい。もう一つの課題は、技術習得や収益化までに数年を要し、経営が安定するまでに時間がかかることだ。
そこで、髙田氏のチームはこれらの課題を解決するために、園地の三次元情報を時系列に作成する果樹園のアーカイブ技術を開発したという。このアーカイブ技術を活用して過去の果樹園を再現し、作業の追体験ができる商材として提供することで、技術取得の機会を増やすことができる。また、顧客園地の情報を仮想空間上に入力してアーカイブ作成を行うことで、果実の品質がよりわかりやすくなる。現地の空間情報を把握して剪定や収穫の調整をしやすくすることで、管理作業時間の削減やさらなる高品質果実の作出が可能になり、もう一つの課題である経営安定の解決にもつながると髙田氏は話す。
今後は、農業法人の技術向上促進を目的とした体験学習サービスをサブスクリプションサービス等の形で提供して利益化を目指すという。また、「農業法人の利益増大をサポートするために、アーカイブを園地ごとに作成し、生産物の高付加価値化や園地面積の増加、雇用管理効率の強化を経年的に果たしていきたい」と髙田氏。22年度には、農業法人等にコンタクトを取り、これまで縁のあった東北地方を中心にアーカイブ作成の契約を目指していくと目標を語った。
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