プレイヤーの選択で物語が複数に分岐、スクエニの最新作『トライアングルストラテジー』は重い選択と人間ドラマを描いた英雄譚だ
2022年03月29日 12時00分更新
全体的に重く生々しいお話だが、行く末を見届けたくなる魅力あり
最初にも書いたが、本作は「選択」を繰り返して自分だけの「信念」を定め、戦乱の世をどう渡り歩くかを描く英雄譚である。その選択はわかりやすい二者択一のものもあれば、ミッションに成功/失敗した場合でも分岐するし、どうしても譲れない想いを天秤にかけて悩みに悩む展開だって存在する。
はっきり言って人の生死も描かれており、かなり重い物語が展開することは覚悟してほしい。だが、それゆえに主人公の、プレイヤーの選択に「重み」を感じられ、ますますのめり込んでいくことになる。この物語を絶対に見届けたい、見届けねばと、そう思わずにはいられないのだ。
1点気になったところがあるとすれば、主人公のセレノアは一貫して誠実な好青年として描かれており、完全なプレイヤーの分身というわけではない。ゆえに、提示される選択肢も「すっ飛んだ内容」はそもそも存在しない(と思われる)。あるいはそこに不自由さを感じるプレイヤーもいるかもしれない。
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婚約者の女性が一部で迫害されている一族だと聞いた際の選択肢。すべて相手をフォローする内容となっており、例えば「我が家でも身分をわきまえてくださいね」とか、雰囲気をブチ壊すような、イヤ~なヤツに見える台詞は選択肢にあがらないようになっている
また、前述のとおり、お話をじっくり描写するタイプのゲームなのでテンポは遅め。バトルも熟考して自分ならではの戦術を考えるのが楽しいので、気持ちよく敵をなぎ倒すような「爽快感」などは得にくいだろう。ミニゲームなどの寄り道もとくになさそうだ。
とはいえ、「物語」重視のプレイヤーにとってはいずれの点も問題にはならない。登場人物も多いので、むしろ丁寧にお話を描いてくれたほうが理解も深まってありがたいと感じるほど。重要な選択の前には丁寧に状況説明をしてくれて、自分の置かれた立場や、選択をした結果どんな未来があり得るのかを教えてくれる。
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戦闘の出撃回数に応じて、キャラクターを深掘りする「挿話」が新たに追加されることも。それぞれの貴重なエピソードを楽しめるのは嬉しいし、戦闘で使っていない=思い入れが少ないキャラについては挿話が発生しないので、2周目以降の楽しみも残る
本作を総じてオススメできるのは「自分の選択を反映した物語を味わいたい人」あるいは、「タクティクスRPGに目がない人」なら間違いないだろう。逆に「小難しいことが苦手な人」や、「とにかく無双したい人」などにはオススメしにくい作品だと言える。
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難易度は「Very Easy」~「Hard」までの4段階。戦闘中以外はいつでも変更可能なので、好きなものを選ぼう。体感的にはEasyだと「味方が誰も倒されず完勝できる」、Normalだと「味方は倒されるが普通に勝てる」、Hardだと「アイテムも駆使しないと勝てない」というところ
たっぷりじっくりと物語を楽しめる本作。よければ実況動画などを見るだけで満足せず、自分の手でセレノアの未来を導いてあげてほしい。どんな過程を経てどんな結末にたどり着いても、あなたが選んだ道ならきっと「納得感のある体験」ができるはずだ。
【ゲーム情報】
タイトル:TRIANGLE STRATEGY(トライアングルストラテジー)
ジャンル:タクティクスRPG
販売:スクウェア・エニックス
開発:アートディンク&SQEX浅野チーム
プラットフォーム:Nintendo Switch
発売日:発売中(2022年3月4日)
価格:通常版:7680円
プレイ人数:1人
CERO:C(15歳以上対象)
© 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
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