プレイヤーの選択で物語が複数に分岐、スクエニの最新作『トライアングルストラテジー』は重い選択と人間ドラマを描いた英雄譚だ
2022年03月29日 12時00分更新
「選択」に重みを感じ過ぎてうんうん悩む「信念の天秤」
物語の分岐点で登場するシステム「信念の天秤」は、7人の仲間にコインを渡し「投票」で道を決めるというもの。なお、プレイヤー=セレノア自身は投票せず、仲間たちの意見を聞き、選びたい選択肢に投票してくれるよう説得していくことになる。
最初に選ぶことになる選択は、「どちらの国へ行くか」というもの。政治的にも仲間の心情的にも意見は真っ二つで、どちらにも理由はある。とはいえさすがに最初の選択肢だし「どちらを選んでも深刻なデメリットはないよな」……そう、思っていた時期が自分にもありました。
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投票の結果、行き先は北部にある「エスフロスト公国」に決定。いまのところ、意にそわない投票結果になったことはないが、もし違った方に決まったらプレイヤーも従わなくてはならない、という点に現実味のあるシビアさを感じる
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誘惑に抗えず、もう一方のルートも確認してみた。「聖ハイサンド大教国」は塩の女神を信仰する宗教国家で、一見すると公平・平等を謳う国に見える。だが、奴隷として迫害される「ローゼル族」の存在や、行き過ぎた学問の「秘密主義」など、こちらも不穏な感じだ
この選択は物語的にはそこまで重くはないのだが、じつは「加入する仲間が異なる」というゲーム的に重要な選択となっている。これは非常に悩む。むむむむむ。
「挿話」で増える仲間と唯一無二の戦略性
ここからはバトルについて語っていこう。戦闘はストーリー中に起きるものと、ワールドマップからいつでも行ける詰所で受けられる「想定バトル(フリーバトル)」の2種類がある。ストーリーで詰まったら詰所の想定バトルでレベル上げができるので安心だ。
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想定バトルは何度でも挑戦可能。普段使っていないキャラクターのレベル上げや、強化アイテムの収集などでも足しげく通うことになる。ちなみにバトルで倒されてもその戦闘で退場するだけで、いわゆるキャラロストはないのでご安心を
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戦闘は「速度」の値が高い順に行動していくタイプで、画面下に行動順が表示されている。ユニットがいないパネルで「Yボタン」を押すと、全ユニットの行動順がひと目でわかるので覚えておこう(行動順の把握は非常に重要)
基本的には相手の背後、せめて側面から攻撃するよう立ち回ったり、仲間と敵をはさみうちにすると発生する「追撃」を当てたりすると有利に戦闘が進む。より高いところから攻撃した方がダメージは大きくなるし、状態異常は毒・麻痺・能力低下と多彩だ。
また、魔法やアイテムによって起こる「地形効果」も本作の重要な要素の1つ。「火」を使えば草や木は燃え、通過するだけでダメージを受ける。「氷」なら移動力と命中率が下がり、「雷」を水たまりに撃てばその上に立っている者すべてが感電ダメージを受ける。「風」は相手の向きを操作できるため、バックアタックを狙いやすい。そうした環境の変化も考慮して戦うのは、戦略の幅が広がっておもしろいと思う。
しかし本作のバトル要素でもっともおもしろいのは、「キャラクターそれぞれに固有の役割がある」という点だと筆者は感じた。
上記で挙げたキャラクターはいずれもストーリーで加入する初期メンバー。それゆえシンプルに役割が決まっていて、扱いやすい能力を備えている。それとは別に、主人公の「信念」の蓄積で加入イベントの「挿話」が発生する仲間たちもおり、そちらは比較的クセの強いメンバーが多い。
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賢者のナルヴ。成長すれば4属性の攻撃魔法を使用可能で、範囲回復魔法まで最初から使えるスーパー魔法使いだ。序盤に仲間になったので「え、この人ホントに育てて大丈夫?土壇場で脱退したりしない?」と疑心暗鬼に
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クラフトマンのイェンス。梯子(ハシゴ)を設置して壁などをショートカットできるようにしたり、踏むと相手を任意の方向へ吹っ飛ばす罠を設置したりできる。バトルの内容によっては難易度を劇的に変える可能性を秘めていると感じた
これらの尖った能力はそれぞれオンリーワンのチカラなので、替えがきかないのがネック。もちろん1回のバトルに出せる人数は上限があり、全員は出陣できない。いかに複数のキャラクター間によるシナジーを生み出せるかを考えるのが、本作のバトルにおける最大のおもしろさだと思う。
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