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「触覚」を精緻にデジタル化、力触覚技術「リアルハプティクス」が真のメタバースを創造する

リアルハプティクスの産業応用と展望

 リアルハプティクスの応用分野は多岐にわたる。製造業や建設業など、既にロボットが導入されている業界はもちろんだが、農作業など現在はまだ人手に頼る部分の多い業界でもロボットが使用できるようになる。

 リアルハプティクスを利用した研究では、やわらかい果物などを取り扱えるロボットハンドシステム開発事例がある。

 「選果場で果物の選別を行う際、ベルトコンベアに流れる果物の中から痛んでいるものを弾くという作業がある。従来型のロボットを使おうとすると、果皮が剝がれてしまう、持ち上げた際に果実が落下してしまうといった課題があった。ここにリアルハプティクスを適用して、人間はどのくらいの力をかけてピックアップしているのかとか、どのくらい痛んでいたらどのくらい加減をしなくてはいけないのかといった情報を抽出して、傷んだ果物のピックアップを自動化している」(溝口氏)

 既存のラインや作業工程にリアルハプティクスを取り入れる場合、そもそもなぜ人間がその作業を上手くこなすことができるのかが明確になっていない場合がある。例えば熟練の作業者ならうまくこなすことができるが、初心者は上手くやれないという場合、それがなぜなのか、どこが違うのかを解明する必要がある。

 リアルハプティクスは力加減の技術なので、作業上で重要なスキルが、例えば音や色など、力に基づくものでない場合は他のセンサーやシステムとの連動が必要になる。全体の最適化の観点からは、より上位のシステムとの連携も重要で、プロセス全体のどこに配置するか、どのように情報を受け渡すかといったことが、システム開発で重要になってくる。

 その点から、リアルハプティクス技術を組み込んだ製品開発や製造プロセス構築を行う企業側が現場への落とし込みを実施し、モーションリブはそのサポートを担当している。現場ノウハウの抽出にも時間がかかるため、トータルで2~3年かかることもあり、その短縮はリアルハプティクス技術の実用化に向けたハードルの1つとなっている。

 すでに累計100を超える共同研究開発プロジェクトが進行中であるとはいえ、将来的な海外進出のためにはさらに事例の積み上げが必要だと溝口氏は考えている。ロボット、遠隔操作、メタバースなど今後の産業界における最重要テーマの核心技術であるリアルハプティクス技術の普及促進を行い、モーションリブが世界に飛躍することを期待する。

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