週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

32GBメモリーとPCIe 4.0接続の512GB SSD、2TB HDDを採用

写真・動画編集を実際に試してこそわかる驚きの性能、第12世代Core i7とRTX 3060搭載のクリエイターPC「DAIV Z7」を試す!

2022年03月07日 11時00分更新

文● 周防克弥 編集●八尋/ASCII
提供: マウスコンピューター

PhotoshopやPremiere Proで写真・動画編集能力をチェック

 では、実作業でもチェックしていこう。使用したのはAdobe Creative CloudのなかからPhotoshop Lightroom Classic、Photoshop、Premiere Proで作業を行なってみた。なお、それぞれテスト時の最新バージョンで検証している。

 まずは、プロカメラマンやデジカメユーザー御用達の画像処理ソフト「Photoshop Lightroom Classic」で、RAW現像にかかる時間とさまざまな補正、修正作業の使用感をチェックした。

 2400万画素のデジカメで撮影したRAWデータ500枚で、PSD16bit形式とJPEG(最高画質)に書き出す際にかかった時間を計測した。結果は、PSD16bit形式への書き出しに要した時間は約3分3秒、JPEG(最高画質)への書き出しは約3分5秒となった。正直な感想として驚きの速さだ。

 過去にCore i7-9700を搭載したDAIV Z7で同様の処理を試したときは約6分で書き出しが行なえ、それでも十分速いと感じたが、その半分くらいの時間で処理ができている。これはRAW現像を日常的に行なうプロカメラマンやデジカメユーザーなら仕事の効率が大きく変わるだろう。

書き出しは基本的にCPUパワーで乗り切っている感じだ。CPU稼働率は100%で張り付くが、クロックは3.30GHz程度までしか上がらない。ストレージへの書き込みも15%前後しか上がってないので、まだまだ余裕はありそうだ

 処理速度が十分に高速なのに加え、PCIe 4.0接続のストレージのおかげで書き込み待ちも起きてない。これだけ速く書き出しが行なえると、ストレージへの書き込み遅延が発生しないかと心配になるが、PCIe 4.0接続ならば安心だ。

 なお、カスタマイズで大容量SSDも選択可能だが、「M.2 PCI Express接続」と表記されているものは、PCIe 3.0での接続になるため、今回のテストと同様の処理、大量のRAWデータ書き出しを行なう予定があるユーザーは注意が必要だ。

 書き出し速度が速すぎて、SSDへの書き込みが追いつかないときに起こる書き込み待ちが発生する可能性があるので、カスタマイズする際は、SSDだからと安心せずに接続方式もチェックしたほうがいい。

 ちなみに2400万画素のデジカメデータは6000×4000ドットの解像度があり、1ファイルあたりPSD16bit形式で約140MB、JPEG(最高画質)で10~20MBくらいの容量になる。高速なCPUも処理速度に大きな影響を与えるが、書き込まれるストレージの速度も、画素数や処理枚数が増えると大きく影響する。

 今後5000万画素クラスや、それ以上の解像度のデジカメデータを処理する必要がある場合、とくにPhotoshop Lightroom ClassicでRAW現像を多く行なうなら、PCIe 4.0接続のSSDを選んでおいたほうがいいだろう。

 Photoshop Lightroom Classicは現像するだけのソフトではなく、色補正やゴミ除去などの細かい修正作業も得意だ。複雑な合成処理を行なわないなら、Photoshop Lightroom Classicだけで画像処理が完了することもある。そこで、いくつかの補正作業も行なってみた。

明瞭度の補正を行なっているところ。プレビュー表示にGPUのレンダリング機能も利用していると思われるが、負荷はそれほど高くない。プレビュー反映は瞬時に行なわれるので、微調整の確認がしやすい

トーンカーブで明るさの補正をプレビューしてみたが、トーンカーブの動きに合わせてリアルタイムでプレビューが反映される

 今回は明瞭度とトーンカーブの様子を確認したが、些細な調整でも瞬時にプレビューが反映されるので、作業を気持ちよく行なうことができる。プレビューの反映が遅れると、それだけでも作業効率が下がるが、DAIV Z7でそのようなことは一切なく、作業がスムーズに行なえた。デジカメデータの現像やレタッチを頻繁に行なうなら、これ以上の選択肢はないなと感じるほどだ。

 次に試したのが、定番の画像レタッチソフト「Photoshop」だ。Photoshopも基本的にCPUのパワーで乗り切るソフトで、GPUは一部のフィルターでアクセラレーションが機能する程度なので、基本的な作業は高性能なCPUであれば作業は快適に行なうことができる。

 まずはPhotoshopの新機能となる「風景ミキサー」を試してみた。被写体のテクスチャーを自動的に入れ替える機能で、季節も手軽に入れ替えられる。新緑の風景を雪景色に変えたり、昼間の景色を夕焼けにしたりと、一見難しそうな処理を自動的に行なってくれる。同機能はまだベータ版あつかいで最適化が進んでないため処理は重いのだが、本機では結構サクサクと処理が行なえた。

被写体を自動的に認識する機能も備えており、背景だけテクスチャーを入れ替えるといった作業もワンタッチで行なえる。プレビュー表示は瞬時というわけにはいかないが、十分に実用的な速度で処理できた

 次は「ぼかしギャラリー」の「チルトシフト」を使用。この機能では、プレビュー作成にGPUのアクセラレーションが機能する。CPUパワーは低いままだがGPUの負荷は上がっているのが確認できる。それでも稼働率は30%弱なので処理そのものは軽く、プレビュー表示も速い。ぼかしの適用量を微調整しても、スライダーの動きに遅れることなくプレビューが表示されるので、作業性は高い。

Photoshopの後処理で背景ボケ、前ボケを作り出せるフィルターだ。CPUの負荷は上がらないがGPUの使用率が高い

 Photoshop Lightroom Classicも同様だが、Photoshopも基本的にはCPUのシングルスレッドのパワーがそのまま処理能力に反映される傾向がある。マルチスレッド動作により、全体的な処理能力が向上することはあるようだが、それ以上にシングルスレッドでのクロック数のほうが重要なことが多いらしく、CINEBENCH R23で確認できたシングルスレッド動作のスコアの高さが影響しているようだ。そのため、Photoshop Lightroom Classicと同じく写真データをあつかうなら、DAIV Z7は最適な1台といえるだろう。

 最後は動画編集ソフト「Premiere Pro」で検証。最近は動画投稿も一般化してきてるので、ユーザーも多いだろう。今回は、デジカメで撮影した約30秒のカットを繋げて、約10分の動画を作成。H.264形式に設定し、YouTube用のプリセットで書き出しを行なった。サンプルは、4KとフルHDを用意している。

4K動画の書き出し中の様子。CPU稼働率は90%弱で余裕があるが、GPUは100%に近く負荷がかかっている

 結果は、4K動画の書き出しにかかった時間が約2分10秒と、計測を間違えているのではないかと思える速度で処理できた。フルHDでの書き出しも約1分30秒と、あっという間に完了している。今回の動画にはエフェクトを含む処理は一切加えてないので、負荷は低いと思うが、それでも4Kの書き出しに2分少々というのは速すぎると感じた。CPUの処理能力の高さとGeForce RTX 3060に搭載されているCUDAコアのアクセラレーションにより、1世代前とは段違いの書き出し速度になっていた。

 そこで、Premiere Proでの作業もチェックしてみた。カット間にエフェクトを入れてプレビュー再生を行なったり、明るさや色の補正作業をしたりしてみたが、どんな作業をしても瞬時にプレビューが反映されるので、ストレスフリーで作業が行なえた。テロップ入れやグレーティングをしながらのプレビュー再生でも、駒落ちを確認した記憶がなく、ほとんどの作業を快適にできた。

トーンカーブの補正では、GPUの負荷が上がるが動作やプレビュー再生への影響を感じることはなく、微妙な調整も瞬時に反映される

カット間にトランジションを挿入し、再生しながらチェックを行なったがプレビューはスムーズで、確認作業も快適に行なえた

実作業でわかった驚きの処理性能

 Core i7-12700とGeForce RTX 3060はハイエンドな組み合わせではないものの、総合的な処理能力は十分すぎるほどに高く、PhotoshopやPremiere Proといったソフトを使用するうえではまったく不満を感じない能力を持っている。

 ベンチマークテストのスコアではまぁまぁの性能アップかなと思ってはいたが、実作業を行なったときに、驚きの処理能力の高さを実感することができた。これだけの性能を持っていながら、25万円台で購入できるというのは、コストパフォーマンス的に考えても高いといえるだろう。プロでカメラマンや動画編集業をしている人、趣味で写真や動画編集をたしなんでいたり、これから始めたいと考えていたりするなら、最優先でチェックしてほしいマシンだ。

試用機の主なスペック
CPU Core i7-12700(Pコア:2.1GHz~最大4.9GHz、Eコア:1.6GHz~最大3.6GHz)、12コア(Pコア:8、Eコア:4)/20スレッド
CPUクーラー 水冷CPUクーラー(120mmラジエーター)
グラフィックス GeForce RTX 3060 GDDR6
メモリー 32GB(16GB×2)
ストレージ 512GB SSD(NVMe対応、PCIe 4.0)、2TB HDD
チップセット Z690
内蔵ドライブ
通信規格 有線LAN(2.5GBASE-T)、無線LAN(IEEE 802.11ax/ac/a/b/g/n)、Bluetooth 5.0
電源 700W 80PLUS BRONZE
サイズ およそ幅190×奥行き501×高さ490mm(突起物含む)
OS Windows 11 Home(64bit)

(提供:マウスコンピューター)

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう